Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

今こそ民間所得倍増計画を

世界各国のGDPが大きく伸びたこの20年間、日本のGDPは横ばいを続けている。
なぜ、世界との間にこのような違いが出たかについては二つの理由があると考えている。
一つは、日本が巨大なバブル崩壊を経験したからだ。しかも、バブルを次のバブルで吸収するというアメリカ方式を採用せずにバブルの清算を試みたことが大きい。だから、日本のGDPが伸びない原因の一つとなっている。
もう一つは、日本政府及び日銀がGDPを増加させるという目標を一切掲げていないことである。国がそれを目標としなければ、自然にGDPが増えるのは成熟した日本という国家においては容易なことではないだろう。
もちろん、日本の人口下減少に転じたという事実は存在するし、将来的に生産年齢人口の急激な低下を迎えることもわかっている。ただ、それが現時点を含む過去20年の低迷をする原因にはなり得ない。あくまで将来的な可能性を意味しているに過ぎないのだ。

かつて、池田内閣の下に1960年に策定された国民所得倍増計画というものがある。(wikihttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%89%80%E5%BE%97%E5%80%8D%E5%A2%97%E8%A8%88%E7%94%BB
その成否については様々な意見もあるだろうが、高度成長期という日本の黄金時代を築き上げた原動力の一つと言って間違いないだろう。実際には急激な成長は同時に様々な社会的な歪みも生み出した。それ故、高度成長を遂げた日本はそこから歪みの修正に入ることとなった。

さて、現在の日本の問題は何か?
数々あるだろうが、最も気になるのは少子高齢化社会を如何に乗りきるかと言うことである。老人は増え、それを支える年代は減る。そして資産の多くは老人が保有している。要するに世代間の資産の歪みが存在するのである。
確かに、日本の成長期を支えてきた高齢者の方々にはそれに応じた老後の安心を受ける権利が存在する。しかし、それを確保するためには支える社会が安定していないなければならない。現在、それが脅かされていることが最も問題なのである。

私は、その解決方法の一つとしてかつて日本が行った所得倍増計画を政府が訴えかけてはどうかと考える。しかも、それは「民間所得」とする。既にリタイアした老人達の所得が増えるわけではない。今働いている人たちの所得を増やそうというものだ。
その方法論としては基本的には緩やかなインフレしかないだろうが、まあ民間所得を倍増させるために取れる方法は全て採用する。円安誘導も、インフレターゲットも全てである。それはすなわち社会を成長させると言うことにも繋がる。

これは、日本にとっての第三の成長と行っても良いかもしれない。開国、戦後、そして少子高齢化社会における成長である。一見、現在の日本はもはや成長の余地がないように感じるかもしれない。ただ、成長の余地がないと誰が決めたのか。誰が証明したのであろうか。あくまで極論ではあるが、バブルを発生さえれば社会は成長するのである。もちろんそれは制御できないからこそ怖いものではあるが、考え方を変えれば現在の日本でも成長できると言うことを証明している。
まさか、今の日本はバブルさえ生じないという人はいないだろう。

新たな成長を試みるとき、歪みの拡大を恐れて現状を変えられないと言うのは最悪だと思う。次に、歪みのことを全く無視して突き進むことも良くないが、だとすれば歪みの是正を念頭には置きながらも、優先順位として成長を先に果たすという順位付けによる方法が最も妥当ではないかと思う。

公務員給与は今でも高いと言われているのだから、それなら民間給与を向上させれば良いではないか。そうすれば政府の税収は間違いなく向上するし、給与が倍になるなら高齢者を支える世代も楽になる。そもそも、そんな状態なら今の高齢者は元気なので引退するよりは稼ごうとなるではないか。

私は、今政府が打ち出すべきメッセージは「増税」などではなく、

「民間所得倍増計画

だと思う。

インフレターゲットも、狙いは同じ。言葉が違うだけ。」