Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

フジテレビ前のデモは効果があるか?

昨日8/21にフジテレビの韓国に肩入れしたような偏向報道は問題だとして、大規模なデモが行われた。
主催者の公式発表は6000人だそうだが、報道によっては1万人を超えているとの話もある。どちらにしても、日本でのデモとしては近年まれに見る規模と言って良いだろう。

現状でのフジテレビの反応はむべも無いようだが、これ自体はやむを得ない。一度大きく打ち出した社の方針を容易には覆せないという日本の大企業ならではの意思決定の遅さがあるためであろう。

さて、これだけ大規模なデモにもかかわらず取材陣はNHK以外に大手の民放や新聞社は、まともに取り合っていない模様である。
逆に、韓国のマスコミが状況を心配そうに見守っているのは、危機感の表れかもしれない。

さて、以前にも書いているがフジテレビの韓流プッシュは、コマーシャル以外の収益を向上させるという目的により行った営利行為である。
韓流以外にもこれまでいろいろなブームの火付けをテレビ局は行ってきた。
アイドルをスポーツの大会にまで登場させるというのも、似た構図だと思える。

そのこと自体を苦々しく思う人はいたであろうが、敢えてデモまで行おうとはしなかった。それは、そのブームがそれなりに上手く作用していたと言うことに加えて、視聴者がごり押しと思えるレベルが、国内的なブームでは閾値が高いからであろう。

今回の韓流ブームも、長い時間かけて浸透を図ってきたテレビ局主体の仕掛けられたブームであることは間違いない。もちろん、それが社会的に受け入れられてしまえば、仕掛けられていようがブームなのである。

フジテレビの誤算は、NHK冬のソナタで火が付いた韓国ブームが、もっと大きな儲けの種になると予想してしまったことではないかと思う。
その予測値を基に様々な営業戦略を練る。必要な投資を行う。必要な宣伝を行う。それが、自然発生的に広がり始めれば、初期の仕掛け以降はあまり手を加えなくても良い。それこそまさにブームはテレビ局の手を離れるわけだ。
ところが、その広がりが一定のレベルで頭打ちを迎えたらどうなるだろう?まだ、当初予定していた目標レベルまでは達しない。

普通であればてこ入れを行う。それが、番組内でのプッシュという安易な方法で現れた。
でも、一定以上広がらないと言うことは、現時点ではその余地はあまりないと言うことではないか?仮にそうならば本来地道にファンを広げる活動が必要であった。少しずつでも韓流を好む人を増やしていく。それならば、軋轢が生じる可能性も低くなる。
人は慣れる動物だからである。

ところが、フジテレビの場合には拙速に目標を達成しようとした。
だから大きな反発を受けている。それが現状ではないか?
もちろん、それを既に受け入れている人たちはいる。だから、一定の支持層は存在するのも間違いない。その人達は、ファン層がそれほど多くないからこそ必死になって応援している。

しかし、まだまだ大多数の国民はそこまでの余裕がない。その上、韓流ドラマやK-POPが日本人を凌駕するほどのクオリティを有しているのであれば、その衝撃は必ず今以上の日本人を捉えるであろう。しかし、こちらの方もそうではない。むしろ20〜30年前のノスタルジックな幻想と相まっている雰囲気すらある。

さて、このデモを受けてフジテレビがすぐに韓流プッシュを止めるかと言えば、おそらくそれはない。ただ、露骨なそれはなりを潜める可能性はある。変わるとしてもその程度であろう。

ただ、このデモを見たスポンサー企業がどのような反応に出るかは興味深い。スポンサーとしては韓国など推す必要はない。それよりは番組を見てくれる人が少しでも多い方がよいのだから。
だとすれば、韓流番組に対するスポンサードが減少する可能性はあると思う。敢えて多くの国民が反発する番組を提供するメリットは、お金を出す企業からからすれば無いに等しいからである。

結果として、フジテレビは韓流により得られるコマーシャル費以外の収益が、コマーシャル費の減少よりも多ければ今後も韓流を続ける。
しかし、その逆が明らかになれば徐々に方向転換して行くであろう。

さらに言えば、ブームはあくまでブームである。それは一時的な盛り上がりに過ぎない。今回のデモがブームに水を差す事態であると認識したならば、以外と早く方向を変える来るかもしれない。ただ、アンチが多くてもファンも多ければ商売は成立するのも事実である。
だから、この反韓流(というよりは韓流プッシュへの反発)が一時的なブームだと見なせば、じっと我慢を続けるのだと思う。

どちらにしても、韓流を使う理由の根本はテレビ局の収益悪化がそれである。そしてその理由は長引くデフレの影響だ。仮に韓流から手を引くならば、別の収益モデルを探さなければならない点が、フジテレビの動きの鈍さの原因となっているのも間違いないであろう。

ちなみに、仮に方針変更をしたとしてもデモの圧力だと言うことは決して認めない。それは、マスコミが圧力に屈してはいけないという姿勢を示すためであろうが、実際には様々な圧力から逃げまくっている彼らが、それを公表することがあれば笑えるものである。

(追記)

テレビ局は、上述の通りアンチが多くてもファンの数が一定以上あれば視聴率は稼げるので問題ない。そもそも10%の視聴率は10%しか人を惹きつけていない。だから、残りの90%が無関心なのかアンチなのかは、極論を言えばどうでもよい。

しかし、スポンサーはアンチが多くては困る。広告は番組の人気により今以上の購買意欲をかき立てて貰うこと。アンチが多くなればそれは既存の売り上げすら落ちることになる。

テレビ局はスポンサーには弱い。しかし、広告収入が減ったからこそ独自収入を得るために様々なブームを煽っているのだ。どちらの道を取るのか、、、悩みは尽きないだろう。

「TV局は一定のコアな支持を集めればよい企業であり、スポンサーは少数でも敵を作るのを嫌う企業である。両者の均衡点までしか韓流は広がらない。」