Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ホワイト国から外れる意味

 本日から3品目の韓国輸出手続きが簡略化されなくなったが、WTOや対抗措置と言った勇ましい言葉とは裏腹に、韓国の方から打てる実質的な対策はない(【社説】韓国大統領府の「戦略的沈黙」は無能と無責任の言い換えにすぎない-Chosun online 朝鮮日報)様である。さらに、現在パブリックコメントを始めているホワイト国指定除外の件については、もっと大きな問題に広がることを懸念(韓経:日本、「ホワイト国」から韓国除外なら1100個の部品調達に支障 | Joongang Ilbo | 中央日報)している。

 実際、世耕経済産業大臣がコメントしたようにこの措置は2003年以前の状況に戻すだけのものであり、対外的には制裁と言うほどのことではない。同様の言葉を借りると、インド(や中国)もホワイト国ではないし、同様の制度ではEUは韓国をホワイト国として指定していない。

 

 だが、韓国はこの日本からのホワイト国指定にどっぷりっ使ってしまっている状況であり、インドは日本から戦略物資を韓国ほど多くは輸入していないだろうし、EUとの部品取引が多いとも思えない。また、仮に日本以外からの輸入路を確保したり、あるいは自国生産を達成したとしても、材料の純度等が劣ることから高品質の製品を製造できなくなる可能性が高い。低品質の世界では中国等とは勝負にならなくなっている現状もあり、ハイブランドとしては欧米(あるいは日本)に未だ手が届いていない。韓国を取り巻く環境として、元々こうした苦境があったのである。そこに追い打ちをかけるのが今回の規制ということになる。

 これは、産業安全保障としての国の手落ちであるが、逆に言えばこれまで日本がそうしたことに信じられないくらい寛容で、日本からの制裁リスクを考えなくても良いから行えてきた一極集中型の韓国経済だったとも言える。これを日本からのいじめと評するメディアは当分でてくるだろうが、韓国が日本にIT系や家電系で競争で勝ったのは、一面で機動力と構想力に優れていた面があるのは認めるが、それ以上にまず安さでライバルを倒していくという手法(さらに、それを政府が後押ししている)ためであった。

 

 もう一つ、この措置に反対しているメディアは韓国の言い分には耳を傾けるが、日本人の気持ちには全く寄り添っていないことがあるだろう。愚衆政治を焚き付けろと言うつもりはさらさらないが、韓国の無法で非礼な態度に多くの日本国民は静かな怒りをため込んでいる(輸出優遇除外:「韓国はどの面下げて日本からの投資を期待してるの?」-Chosun online 朝鮮日報)。この事実は決して看過できないと思うのだが、一部のメディアはその事に配慮をしない(目を瞑っている)ようだ。

 

 昨日も書いたが、今回の措置は日本が今後は韓国の後ろ盾とはならないという宣言だと考えている。そして、それをアメリカも認めている。もちろん、韓国の大統領が変わり、あるいはアメリカ大統領が変わった場合には変化もあるだろう。だが、基本的なスタンスは韓国が日本に甘える態度を変えない限り、こうした措置は根本的に解除されることはないというもの。

 この効果は即時には出てこない。だが、徐々に韓国経済の信用が低下していくという形で広がっていく。まずは、日本企業や日本からの投資が引き上げられることから始まる。それを間接的に助長するのが今回の措置である。日本が韓国から手を引く。そのインパクトは決して小さなものではない。

 

 だが韓国はあまりにも長い間、日本から与えられるぬるま湯につかり過ぎてきた。それが日本からの庇護であるということを忘れてしまったかのようだ。一部経済人や政治家は理解していると思うが、それを言い出せない強固な社会的空気を醸成してしまった。だから、少なくとも文大統領は折れることはないだろう。折れることは政治家としての敗北を意味するのだ。それが、韓国を失われた30年に追いやるような対応であったとしても。

 

 そして、日本人は今後韓国人から言い続けられる。「自分たちが苦しい時に助けてくれなかった」と。あるいは、相も変わらずの告げ口外交に、様々な嫌がらせも受けるだろう。彼らが日本に対して求めるような、本当の意味で謝ることもなく。だが、逆に言えば彼らにはその程度しかできないということでもある。今はただ、膨れ上がり過ぎた自尊心故に崩壊していくであろう隣国のことを、生暖かく見守っていきたいなと思う。