Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

徴用工資産売却から見える構図

 韓国でついに日本企業資産の売却が動き出すという報道が出た(【社説】強制徴用訴訟 資産売却手続き開始…直ちに解決策を(中央日報日本語版) - Yahoo!ニュース)。これに対し日本政府は早速制裁措置の準備に入り、韓国政府は傍観を決め込んでいる(韓国外相、日本企業資産売却に静観「介入せず」 : 国際 : 読売新聞オンライン)。

 民間による裁判結果に対する行為であり、裁判結果に韓国政府が直接介入しないというのは一見正しいようにも見えるが、実際にはそのように誘導してきたのが韓国政府であり、この状況を意図して招いたと考えるのが正しい。 

 現在では、韓国が国内的な要因から反日教育を行い、その結果として政権すらそれをコントロールできなくなっているのは、概ねの人が分かっていると思う。だがこうした反日感情は、二つの側面からできている。一つには日本に併合されていたという歴史的事実を認めたくないというルサンチマン【緯度経度】日韓疑似戦争の欲求不満 黒田勝弘(1/2ページ) - 産経ニュース)、もう一つは国内政争のための道具。特に後者は独立後の政争において大きな効果を発揮した。日本と組む方が良いという政治勢力と、アメリカと組むという政治勢力の権力闘争において、反日カードは国内的に非常に良い武器となった。結果的に、日本と組むべきと言う勢力も反日を否定できなくなり韓国の外交思想は統一された。

 要するに、反日には感情的なものと戦略的なものがある。感情的なものは、かなり前に盛り上がり今はどちらかと言えば沈静化している。むしろ、人工的に造られた論理的(とも言いきれないが)反日の方が広がっている(田原総一朗「韓国の『反日感情』は政治家とメディアが煽る幻だ」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット))。そもそも戦後70年以上経過しており、日本人の大部分も戦後生まれなのだから、当事者と呼べる人は非常に少ない。そんな中、実体験から来る感情的な反発はもうほとんど残っていない。現在の反日は、韓国が過去の急場を乗り越えるために築き上げてきた虚構の上に存在している。

 話を元に戻せば、資産売却問題は現在原告団に預けられた状況であるが、それも揺れ動いているように見える部分もある(韓国・元徴用工側 資産売却申請取りやめ示唆)。だが、それは戦略的に日本に揺さぶりをかけているのではなく、むしろ功名心により飛び出したものが、最後のスイッチを押すのを戸惑っているに似ている。

 日本に強気に出たいが、それにより導かれる失敗の責任を取りたくないという自縄自縛である。反抗されないからいじめをしている当人が、いじめられている側がナイフをちらつかせて、それに対して粋がって見せている状況。

 

 だが、私は最終的にはなし崩し的に資産売却に動くことになり、日本側から対抗策(何らかの制裁)が行われることに必ずなると見ている。アメリカにおける韓国の重要性が大きく低下した今、日本が韓国を甘やかす必然性はもはや存在しない。

 ただ、韓国自体は今も昔の夢を見続けている。かつて、経済危機のたびにアメリカからの圧力(あるいは日本国内からの動き)により日本が韓国を支援してきた。その基盤の上に現在の韓国があるが、こうした支援が無くなりつつある現在は、慰安婦問題や徴用工問題などによる恫喝しか、韓国には手が無いのである。

 その行動が、一時的な自尊心を満足させることが出来たとしても、将来的には大きな損失を招くとわかっていても、自分たちが組み上げてきた虚構により正しい道を選択できない状況。それは韓国(朝鮮半島)が過去に経て来た道でもある。

 

 私たち日本人は、韓国の挑発的な反応に一喜一憂することなく、落ち着いて当たり前の行動をすればそれで良い。