Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

令和で支持率アップ?

令和「良い」8割超=内閣支持上昇43%-4月の時事世論調査:時事ドットコム

 

 上記記事では、元号が変わることが安倍政権支持率の上昇につながったとの分析があるが、私はそのようには見ていない。安倍政権が日本の政権としてそれなりに高い支持率を維持しているのは、一面に中国や韓国の潜在的脅威に対応していることがあるが、それ以上に少なくとも低迷していた景気が上昇していることがあろう。特に若年層の支持率が高いのはメディアなどでも報じられているが、歴史的な失業率の低さ(2月の失業率2.3%、人手不足で9カ月ぶりの低水準 :日本経済新聞)だけでなく、正規雇用促進を含めた徐々に給与の上昇も見られ始めていることが主因であると考えている。要するに、政権支持率は大きくは国民の懐の温かさにより決定する。

 私は安倍政権の経済政策に諸手を上げて賛同している訳ではないが、少なくとも国民が豊かになるための政策が皆無であった民主党政権よりはマシであるという感想を持っている。安倍政権でも細部を見れば問題も多いし、消費税増税という政治のしがらみに囚われてしまっている状況は問題だと思う。ただ、世界景気の復調に助けられているとは言え、その流れを享受できる立場を得られたのは政策のおかげだろう。同様の外的状況がありながら、韓国の経済状況は非常に悪い(韓国の青年体感失業率、過去最悪の25%超-Chosun online 朝鮮日報)。それもあって、国を挙げて日本への就職を斡旋している状況がある(【経済インサイド】関係緊迫化でも…韓国人学生の日本就職、なぜ過熱? (1/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ))。

 私の理解としては、潜在的な安倍政権支持率は低くないと見ている。政権当初は50%を超える誇っていたが、総理個人のキャラクターとしてはその程度の潜在的な支持率を持っているのではないだろうか。もちろん、大臣の更迭や自民党そのものの驕りを国民は敏感に感じ取り、結果としてこうした潜在支持率が引き下げられている実情はあるだろう。野党とメディアが自覚なき共闘をすることで、ネガティブキャンペーンを繰り返してきた影響もあるかもしれない。ただ、昭和の時代と異なりその影響力は大きく削がれるようになった。メディアが行う根の薄い扇動に対し、ネットという異なる情報ツールを手に入れた国民は既にその多くが彼らの感情を刺激するマインドコントロールから解放された。もちろん、未だにその支配下にある人も存在するし、政治的な主張故に絶対反対を貫く人も一定数存在する(概ね20%程度であろうか)。だが、これは国家の多様性を維持するためには必要な事であり、逆にそれがいなくなるような国家はいつか崩壊する。仮に現状に即さない行動だと見えても、国家のサスティナビリティを確保する上での必要コストであると考えるべきであろう。

 話を戻すが、元号発表はこうした潜在支持率を取り戻したきっかけに過ぎず、現状現政権は継続的に国民の一定の支持を得ていると考えて良いだろう。いろいろな雑音を払拭できる丁度良いタイミングであったと考えるのが適切ではないだろうか。見方を変えれば、それが令和という新元号を好感してと取ることもできるかもしれないが、主が潜在的支持率と見るか、元号と見るかにより判断が変わる。

 一方で、40~60代の政権支持率はここのところ安定して低い。昭和の時代であればこの傾向は逆であった(若者の自民党支持率が高くなってきた理由 | 国内政治 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)。若者の方がリベラル志向が高く、年齢が高いほど保守層となっているというのは理解しやすい傾向であった。こうした変化については、実のところメディアの報道や自称ではリベラルを標榜しても、実のところ既得権益を守ろうという構図があることは過去にも触れた(保守的なリベラル - Alternative Issue)。「革新」という言葉に悪い意味でのレッテルが張りつき用いられにくくなったが故に、リベラルという新たな呼称を用いてきたが、それもそろそろ賞味期限切れなのかもしれない。

 どちらにしても、これほど潜在支持率をはっきりと確立させた政権はかつて存在しない。また、後継を担えるような人材がそれほど出てきていないことを考えると、安部4選の可能性もあるのではないだろうか。もちろん政治の世界は一寸先が闇であり、現段階ではっきりとしたことが言えないのはそのとおり。景気の大幅な低迷でも生じない限りにおいて、現政権の支持率はそれほど揺らがないのではないだろうか。もっとも、世界景気の先行きは徐々に不透明になっている。個人的には現在のアメリカの株高は予想以上でその理由を理解できていない。さて、そういう点で大きな問題となる消費増税をどうするか。興味を持って見ている。