Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

台風と温帯低気圧

 私は今まで中心部分の最高風速が17.2m/secを切ることで、台風が低気圧に変わるのだと勘違いしていた。しかし、現実には17.2m/secを切らなくとも温帯低気圧に変化することがあるらしい。現在近づいている台風26号も、気象庁の予報によれば中心付近の気圧が955hp、中心付近の最大風速が35mと予想されながら北海道付近で温帯低気圧に変わるとされている。
 そこで自分の知識が間違っていたのだと気づき、ちょっとぐぐってみた。まず、台風が熱帯低気圧(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%B8%AF%E4%BD%8E%E6%B0%97%E5%9C%A7)の成長したものであることは多くの人も知っているであろう。実際、天気予報などでも台風に発達しそうな熱帯低気圧はその旨を報道されることは多い。

 台風は熱帯低気圧が勢力を拡大した姿ではあるが、その行く末は2つの形態に分かれる。一つが熱帯低気圧に戻ること。そしてもう一つは温帯低気圧に変わることである。熱帯低気圧は、言葉のとおり熱帯域の高い海水温が蒸発して地球の自転などの影響により渦巻くことで生じる低気圧であるが、温帯低気圧は暖かい空気と冷たい空気がぶつかり混ざり合うこと(両者の温度差が原因)により生じるという違いがある(http://www.jma-net.go.jp/akita/Q&A/qandanew_taihuu.htm)。
 両者の決定的な違いは前線を伴うかどうかであって、台風も雨台風と呼ばれるものはあるもののそれ自体が前線を作り伴うものではない。もちろん、既存の前線を刺激して雨を降らせることはあるので、だからと言って台風と雨が関係ない訳ではない。
 温帯低気圧は、上述のとおりそもそもの発生過程が空気(気団)の温度差を生成要因とするので、別に熱帯でなくとも発生する。そして多くの場合には前線を伴うこととなる。

 元々熱帯低気圧として生まれてきた台風が温帯低気圧に変化してしまうのは、冷たい空気とぶつかることでその構成状況が変化することにあるが、台風が暖かい地域で発生した後寒い地域に移動するため、熱帯性の高い海水温が供給されなくなることが理由である。通常は台風自体の保有する暖かく湿った空気に冷たい空気が混ざることで台風周囲に徐々に前線が発生し、それが台風中心部に到達した時に温帯低気圧化(温低化)するとされている。もちろん、暖かい海上にある場合には勢力の低下により台風が再び熱帯低気圧に戻る(そしてその後消滅する)という経緯を辿るケースも少なくない。
 そして分類上は、熱帯低気圧の風速が一定(17.2m/sec)以上を超えたものを台風と規定していることにある。だから、勢力が仮に強くても状態が温帯低気圧に変化すればそれは台風には分類されずに温帯低気圧として発表される。逆に言えば、温帯低気圧係に台風並に成長してもそれが台風と呼ばれることもない。

 ついつい、普段は低気圧は弱いもので台風が強いものと認識しがちであるが(現に私がそうであった)、実際には温帯低気圧についてはいくら強くても台風と扱われないと言うことは知っておいた方が良いだろう。そして、今回のように非常に勢力が強い状況が続いていても、構成状況が変化すればそれは台風ではなくなってしまうのだ。
 こうしたことは常識なのかも知れないが、私自身良く理解していなかったのでメモ的にここに書き留めておこうと思う。