Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

モンスタークレーマー

 J-CASTニュース旭日旗デザイン使用のイタリア業者 韓国人抗議への「痛烈皮肉」はすごかったが…:http://www.j-cast.com/2013/05/10174859.html?p=1

 旭日旗http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%AD%E6%97%A5%E6%97%97)に韓国がクレームを付け始めたのは、2011年サッカーアジアカップにおいて奇誠庸選手が日本人を猿に見立てて人種差別パフォーマンスをおこなった際に、実際にはそこに存在しなかった旭日旗を持ち出し釈明したのが最初と言われている。さらに、2012年のロンドンオリンピックにてプラカードによる独島パフォーマンスを問題視された時にも、体操選手のユニフォームにクレームを付ける形で問題を広げるようになった。
 国内向けの言い訳に旭日旗を持ち出したことから考えても、韓国内では目立たない形での活動が行われていたのかも知れないが、それが対外的に現れることはこれまでなかったと思う。

 これが正当な抗議なのかを判断することは、一方的に巻き込まれているとは言え当事者に該当する日本側が行っても説得力に欠けるのが現状である。正直言えば、戦後70年近く経過している今この問題を持ち出すのは、戦争の当事者ではなく二次的な学習により疑似体験した世代の横暴ではないかと言うのが正直な感想だ。
 しかし、日本に向けてのみ非難を行っている内はまだ問題が広がることはなかっただろうが、世界に向けて行動を起こし始めると韓国側の立場は非常に脆くなると思う。正直、世界からすればどうでも良いことに巻き込まれているというのが現状である。迷惑だから、勝手にやってくれと言うのが正直な感想ではないか。そもそも、戦後すぐにこの話が出ていたとすれば抗議の正当性もあるかも知れないが、今になって出てくるというものを正当だと認識する人はそう多くはあるまい。

 これまで韓国が唯一気楽に批判できる相手が日本であったこともあり、国内的な矛盾を解消する魔法の杖として利用されてきた。実際、韓国の国家的成長が順調であった時には日本の批判はそれほど行われない。そして、経済的あるいは社会的な矛盾が噴き出してきたときには、その解消方法の一環として日本たたきが行われる。
 ところがここにきて、日本がこれまで対して行わなかった反論を強め始めた。このままで批判できなくなることを恐れて現状の固定化を図ろうとしているのが慰安婦問題を含めた日本たたきの根底にあるのではないかと思う。
 しかし、国内的矛盾を日本たたきにより解消できることは実際にはありえない。あくまで一時的に目くらましを行うためのものでしかないのだ。最も重要なことは国内的な改革・改善を実施することのはずなのだが、現状ではそれが進んでいるようには見えない。円高というアドバンテージが3〜4年あり、その間に世界における経済的な地位を確立したかったのであろうが、それは一部の世界的企業を後押しするのみで終わってしまい、国全体の経済的な強さを創出するには至らなかったのである。

 学校におけるいじめの構図もまさにそれであるが、一旦「いじめる-いじめられる」の形が出来上がるとよほどのことがない限りそれが覆されることはない。いじめの度合いは種々あるだろうが、この状況を覆そうとすればするほどに、多くの場合いじめがひどくなる。状況を変えたくないという意識が働くからである。
 そこでは正論など何の意味も持たない。これまでの状況がすべてであって現状を維持するためにはそれこそどんな手だって打つ。過去に問題としてこなかったことでも総動員される。いじめる側からすれば、問題にしなかっただけでありいつでもそれは持ち出せたのだという論理だ。
 この構図から抜け出す方法論は、下手な妥協などではなくこの構図を覆すという強い意志と行動しかない。第三者の仲裁は一時的には意味を持っても状況を覆すに至ることはない。あくまで当事者間の意識がすべてを形作っている。いじめられる側の視点をいじめる側は決して意識しない。

 ただ韓国と日本との関係にそれを当てはめると、実は日本よりも韓国の方が被害者意識が強いという面が上記の構図を覆すうえでの障害となるだろう。日本側も韓国側も相手から理不尽な要求を突き付けられていると考えているからである。例えば、学校内でもいじめる側の理屈はさまざまである。単純にいじめやすいからということではなく、「生意気だから」とか「態度が気にくわない」など理由などいくらでも考えられる。その上で、相手が抵抗してこないと判ればいじめという行為は容易に開始する。
 さて、生意気だとか気にくわないのは相手から何らかの心理的なプレッシャーを受けたという状況により引き起こされる。今の日本と韓国を見ていると、この心理的プレッシャーを過去の日本の併合されたという事実現状の経済的に圧倒されているという状況で説明できる。
 ただし、建前上それを日本は韓国に強調したりはしない。むしろこれまでの立場でいえば手を差し伸べようとしてきた方である。しかし、被害者心理はそれにより解消されるとは限らないし、むしろ増幅していたともいえる。
 過去の事実はかき消されることは決してないし、現状を変えるのは国家としての努力しかない。しかし、その双方とも容易にはできないのだから安易な方向としていじめの構図を維持しようと行為がエスカレートしていく。

 日本は、韓国との関係を断ちがたいと考えるのであればいじめをエスカレートさせない範囲で現状維持を図ることになるし、現状の関係を清算したいとなれば断固たる姿勢を取らなければならない。東アジアの情勢も変わり、共産主義の防波堤としての韓国の役割が消滅したこと、東南アジアや南アジアの国々の成長によりモノづくりの面でも韓国の役割が相対的に低下しつつある今、日本の態度が目立たない場面で徐々に韓国外しに動いていることを敏感に感じ取っているのが現状の行為につながっている。
 モンスタークレイマーに対抗するためには、中途半端な意志では不十分なのだ。