Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ライジングサンフォビア

 東京オリンピックに対する韓国の嫌がらせが広がっている。パラリンピックメダルデザインへのクレームから、旭日旗使用についてまで。だが、IPC会長はこのクレームを全く受け付けてはいない(東京パラメダル、見直さず=旭日旗の懸念は「大会と無関係」-IPC会長:時事ドットコム)。これ以外には放射能問題(韓国政府「福島汚染水に積極的対応」…新たなカードを切り出した : 政治•社会 : hankyoreh japan)を持ち出しているが、この点についても韓国に追随する世界的な反応はない。というのも、メディアが汚染水と呼んでいるトリチウム水は世界中が海に排出している。クレームをつけている当の韓国すら大量に排出している(【GEPR】トリチウムの処理は韓国に学べ – アゴラ)のだから、これを問題にしても結論から言えば韓国に勝ち目はない。

 ただし、貯蔵されているのはそのまま放出可能なトリチウム水なのかについては、すべてがそうという訳ではないので(はたして現状の原発処理水は希釈して放出可能なのか検証 - 木走日記)、この問題を発信する時には注意が必要である。再度除去することを前提とした放出なら大丈夫と認識しておいたほうが良い。ただ、日本が貯蔵している汚染水が他国と根本的に違うという主張や、科学的根拠に基づかない放射能汚染を理由としたクレームには、嫌がらせ以上の効果はあり得ない。

 

 そもそも、旭日旗問題(旭日旗 - Wikipedia)についても放射能問題についても、元々は日本に対する嫌がらせ的な運動が拡大したものであり、それを踏まえていれば韓国側としてもっと上手い使い方があるはずなのだ。だからこそ、旭日旗問題に関して朝日新聞の社旗(朝日新聞 社旗 - Google 検索)には一切クレームをつけていない。このように、都合の良いところとそうでないところの使い分けが各所でなされている。そんな手段であったはずにも関わらず、いつの間にか方便を自らが信じ込み、挙句の果てに真剣に運動に広げてしまい、さらには韓国政府までが同調する状況に至ったのが今である。不思議なことに、韓国が持ち出す歴史的証拠が映画だったり、説明や歴史的経緯を無視した誤用であったりするのは、ウォッチャーの人たちならよく知っているであろう。

 そもそも旭日旗問題も、厳格な旭日旗(とはいえ、いくつかのパターンがあるが)に絞って運動を展開すればまだ同調してくれる人も多かったかもしれない。だが、韓国は旭日旗そのものだけではなく、放射光デザインのすべてに喧嘩を売っている。マケドニアの国旗(マケドニア国旗 - Google 検索)やユニオンジャックイギリスの国旗 - Wikipedia)など、放射状の基準に照らし合わせると韓国人が許容できないデザインは世界に溢れている。

 一部日本人が、相手が嫌がるものを無理に掲げるのは良くないと主張している(ひろゆき「いつも旭日旗を持ち歩いてるわけでもないのにわざと東京オリンピックに持っていくのは悪意」 : はちま起稿)。だが、オリンピックだからこそ国を象徴する旗を用いて応援するのだと思うが、どうだろうか。私は、この際だから皆が大漁旗を持っていけばよいと思ったりもしている。韓国がこれにまで文句をつけるようならば、さすがにどこの支持も受けられないであろう。そして、世界中で五月雨式につけているクレームに歯止めが打たれることになる。

 

 しかし、そもそも旭日旗を韓国人が問題視し始めたのは、2011年のアジアカップの日韓戦と言われている(「旭日旗」問題の契機はサッカー・アジア杯 奥薗静岡県立大准教授 - 産経ニュース)。その証拠は各所に上がっており(韓国人が旭日旗で騒ぎ出したのは2012年からということがよくわかるデータ|カイカイch - 日韓交流掲示板サイト)、それまでは韓国人も普通に放射状の意匠を使ってきた。2010年に韓国で開催されたG20のマークにも放射状のデザインが使われている(2010 G20 マーク - Google 検索)し、PSYの江南スタイルのグッズにも存在する(江南スタイル グッズ - Google 検索)。ただ、2010年以前にも韓国のマスコミで旭日旗デザインが叩かれた例はあるようだ(韓国は後進国ですからねえ | こりあうぉっちんぐ)。

 それでも、今ほどの関心もなく何人もの韓国芸能人が放射状のデザインがなされた服を着てきたし、今も世界中で数多くの人にクールだと親しまれている。旭日旗そのものに限定しても難しいのに放射状にまで広げるなんて、標準的な意匠を禁止することなどそもそもできやしない。アメリアのメディアでも韓国が政治的な理由で用いていることにも触れ始めた(米FOXニュース「韓国の旭日旗に対する怒りは2011年から拡がり、反日ナショナリズムに火を点けるためのものとしてきた」と指摘……どうやら欧米マスコミもキ・ソンヨンの虚言を理解してきた模様: 楽韓Web)。

 

 このように、一種の旭日旗恐怖症(ライジングサンフォビア)とも呼べる状況は、韓国人の心の中に第二次世界大戦後から密やかに燻っていたかもしれないが、本格的に表面化したのは2012年頃からの非常に新しい症状である。逆に言えば、韓国人の有する「恨」を表出できる象徴としてメディア等により祭り上げられたものだと見て取れる。仮にそうだとすると、旭日旗が規制されても再び新たな代償が必要になる。ターゲットに何が選ばれるかを想像するのは困難だが、ここでの譲歩は新しい旭日旗を生み出す源泉となるだろう。

 少なくとも、戦後生まれの韓国人が旭日旗を嫌悪する理由は、戦後の教育でしか考えられない。その刷り込まれた知識により、物事を嫌悪・排斥できること自体に私は興味を抱いている。少し話がそれてしまうが、生理的嫌悪感の代表として語られるトライポフォビア(トライポフォビア - Wikipedia)のことが頭をよぎった。蓮コラ蓮コラ - Google 検索)としても知られる生理的な嫌悪感を抱くようになるシステムは、人間である限りなかなか回避できないものである。同じような生理的な反応は、果たしてどのような症名をつけられるのであろうか。