民主党と反省

　もともと国会審議は虚飾と印象操作の場ではあるが、今回の国会質疑を見て強く感じた。現状ではやはり民主党は政権を担うに値しないのだと言うことをである（「しなかった」ではない）。印象の感じ方はそれぞれであろうから、時間のある方は以下の動画を見ていただければと思う。

岡田克也議員の質疑：http://www.youtube.com/watch?v=Wq3xhmNOn3g
細野豪志議員の質疑：http://www.youtube.com/watch?v=0LEUfCDIG_E
海江田万里議員の質疑：http://www.youtube.com/watch?v=sW3yQMSRSvQ
原口一博議員の質疑：http://www.youtube.com/watch?v=dvTXwpnEm88

　ずっと野党であった頃には、政府与党を経験していないが故に好き放題言えたものであったが、今となっては繰り出す質問が自分たちが失敗してきたことあるいは自分たちが行えなかった（行わなかった）ことに跳ね返っているのは笑い話としか見えないが、考え方を変えればそれもまた見事と言えるレベルであろう。ブーメラン伝説という伝統芸を見事に継承していると言う意味において民主党は何も変わっていない。
　3年間の政権の座にいた期間に、方向性はどうであれ検討は山ほどしたのだろう。しかし、結論を残せなかった。結果を出せなかった。結果を出すための方法を知らなかった。だからこそ、その未熟さが昨年末の選挙において国民からの圧倒的な批判という審判を受けたのである。それは、自分でやったつもりになってきても意味はないと言うことである。いくら印象論を語ろうが、良いことを言おうが、相手を議論でやり込めようが、最終的には政権与党は結果を残さなければならない。少なくとも国民にそう信じさせなければならない。
　だとすれば、下野した今回にまずすべきことは反省のふりではなく、国民に自らの行動や判断が正しいと信じさせるような質問を行うべきなのだろうと思う。そういう視点で見たときに、結果の質疑がこれなのかと考えるとはなはだ心許ない内容なのが哀れにすら感じら得た。政権を担ったもの同士の議論として行うべきは、自ら（自党）の判断が正しく相手方の施策のこの点がおかしいということを論理的かつ明確に論議することであろう。しかし、動画を見る限りは失った信頼を挽回するために、いかに強く印象づけるかという観点に立っているようにしか思えなかった。

　もちろん印象も大切ではあろうが、それは一度信頼を大きく失った政党が行ってもあまり効果はない。信頼を勝ち得たものが行う印象付けには多くの人は共感しやすいが、信頼を失ったものが行うそれには反発するものだ。今回の質疑を見た多くの人は、逆に質問者側の姿勢を不快に思った人が多いのではないだろうか。
　このような行動に出ている理由として思い浮かぶのは2点ある。一つは、未だに自分たちはまだ一定の信頼を勝ち得ていると思っている（あるいは思いたい）ということだろうと思う。選挙結果が国民の信頼の全てとは言えないが、おそらく民主党議員は結果を甘く見ているのではないか。言い方は悪いがそれこそはむしろ国民をバカにした態度ではないかと感じている。このままでいれば、解党に向かってまっしぐらではないかと思うのだ。それを真剣に理解したときには取り返しがつかないという状況になっているのかもしれない。
　もう一つは、結局のところ誇れる実績がほとんど無いために、印象操作しか議論をできるものがないというのもあろう。成果を競えないというのは自業自得であるとしか言えないが、それをどれだけ彼らが真摯に理解しているのかは私には何ともわからない。もし、それをわかった上で罵声を浴びる覚悟をしても敢えて行っているのであれば一定の評価をしても良いと思うのだが、おそらくそうではないだろう。

　国民の民主党に対する怒りは容易には冷めないと思うので、10年程度は再び政権を目指せるような状況に至ることはないと思うが、その覚悟を持って失敗した3年間の経験を最大限生かすように努力する他はないだろう。
　現状において自民党は下野の反省を覚えているから容易に浮き足立つことはないだろうが、それでもいつかはその反省も薄れる。制度でも経済でも、そして人の心もそうではあるが、物事は流転するのが常である。だから、民主党という受け皿の価値が無くなったとは思わない（別に民主党ではなくても良いが）。ただ、実際の民主党の議員はその受け皿を担うに届かない。
　自民党が下野したときに、多くのマスコミは「自民党は反省していない」と書いてきた。偏った意見かもしれないが、私から見ればおそらく民主党の方が反省していないように思えるのだがどうだろう。