Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

乞食ビジネス

親族女児の難病「金儲け」に利用する〝人でなし〟 あの街頭募金は詐欺だった(http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130105/waf13010518010021-n1.htm

リンクの内容は言うまでもなく詐欺行為であり、こんなことが基本的に許されてはならないと思うのだが、数ヶ月の期間を毎日数人で行って数百万の上がりだとすれば、詐欺の上がりとしては大したことが無いとも考えてしまった。
そういえば最近ではすっかり姿を消してしまったが、昔は「おめぐみください」と路上で座り込んで金銭を乞う所謂「乞食(こじきhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9E%E9%A3%9F)」を見かけることがよくあった。この言葉は、今となっては差別用語として放送禁止用語となっており耳にすることはないが、うろ覚えではあるが昔のマンガ(「男一匹ガキ大将http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%B7%E4%B8%80%E5%8C%B9%E3%82%AC%E3%82%AD%E5%A4%A7%E5%B0%86」など)にもよく登場したように記憶している。今回は言葉の意味をより正確に表現したいので敢えてこの言葉を使わせてもらう。

古い話になるが、私が子供の頃にはそういう物乞いする人がいたのは、今よりも社会保障制度が充実していなかったことが考えられるであろう。現状では、法的に乞食は軽犯罪法において禁止されており、ホームレスと呼ばれる形態の似た人たちがいるのだが昔の「乞食」とはかなり異なっている。
しかし、不思議だったのは「乞食」と呼ばれる人たちが以外と金持ちで、車で来て物乞いをして車で帰っていくなどと言う話を親たちから聞いたことも記憶に残っている。私はその過程を見たことはないのだが、子供心に「乞食」とは予想以上に儲かるものなのだなと思ったものだ。
この話を思い出して、昨今の生活保護問題に思い至る。ほんの一部ではあろうが、生活保護を不正受給している人たちがいて、良い車を乗り回しながらも生活保護という形での合理的な物乞いを行っている姿が、ビジネスとしての乞食をしていた人と重なるのである。
前者は上手いビジネスだなと感じる部分が少しはあるのだが、後者にはそれを感じないのは行政の福祉サービスに不正に乗っかっている事もあろうが、何より乞食という姿を装い哀れを誘う演技すら行っていないという努力の不足なのかも知れない。

さて冒頭の詐欺集団であるが、別に評価するつもりは更々無いもののこの乞食ビジネスと似ていると感じた。詐欺的手法も考えてみれば同じ様なものである。ただ、自らを貶めていない分募金詐欺の方が劣る。特に、関係のない難病の子供を出しにしていたことは心情的に許されない。
更に社会のいろいろなところに思いを馳せてみれば、ひょっとすると同じ様な構図のビジネスは数多くあるのではないか。詐欺的な行為の多少はあるだろうし、目的の正当性にも強弱もあるだろう。ただ、災害救援募金の横流し問題や何に使われているかよくわからない補助金問題などを聞く時、そんな匂いがかすかにしてくる。もちろん、善意での活動をしている多くの人たちには頭が下がるし、そんな人たちを疑うつもりはない。
ただ、システムに上手く乗っかかればそれは詐欺ではなく合理的な収入の道を開く一種の乞食ビジネスとして成立するのだなと思っただけである。それを本格的に取り締まるのは決して容易ではあるまい。実質的には人々の倫理に期待するしかないのかも知れない。