Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ステマと違法の境界

タレントのほしのあき他多くの芸能人がワールドオークションというペニーオークションhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3)サイトの宣伝を自分のブログで行ったことで、ネット上では問題行動だとの意見が噴出している(http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20121212-OHT1T00108.htm)。特に問題とされているのは、実際にはオークションには参加していなかったのに、まるで参加して落札したように見せかけていることがある。
このペニーオークションというものは、超安値での落札可能を謳ってはいるが入札1回ごとの手数料が必要であって、仮に落札価格は安くても手数料がかさめば商品代よりも高くなってしまうと言うものであって、既に多くの問題性が指摘されていた。
ちょっと考えれば、サクラやシステムにより制御されてしまうことは容易に推測可能ではあるが、安く出手に入れたいという心理を上手く突いた方法でもある。システムを用いて落札できないようにしていたとすれば、それは詐欺に他ならないため問題とされているのだ。現状では、芸能人のブログにおいて宣伝してもらうこと自体が一つの商売になっており、アメーバブログなどでは1回40万円から400万円という価格設定で実際に請負が為されている(http://prom.ameba.jp/mediaguide/201210-12/2012_10-12_ameba.official.pdf)。
原則としては、その芸能人が商品を利用した上で書くものとなっており、今回の件ではアメーバブログは関わっていないとしているが、土壌そのものは生み出していると言って良い。

考えてみれば、TVなどでも違法な投資のCMに芸能人が出ていて詐欺の片棒を担いだ件は数知れず存在する。こうしたことについては違法性が高いとの意見が出ているが(http://blogos.com/article/19894/)、現状は黙認されたままでもある。少なくとも、現状ではTV局が詐欺の片棒を担いだと罰を受けたとは聞いたことがないので、法的にはなかなか取り締まるのが難しいのかも知れない。
同じ様なことは、ネット上の人気サイトでも行われている。例えば、人気サイトの探偵ファイルhttp://www.tanteifile.com/)も、ペニーオークションのいかがわしさが問題となって以降もずっと広告として掲載していた(現在は全て削除されている)。人気サイトの信用力を利用した収益を得る方法ではあるが、倫理的には決して褒められたものでは無い。少なくとも探偵として世の中の正義を謳っているサイトだけに、法的に問題なくとも倫理的な罪はおそらくブログに書いたタレントよりは重いと思う。他にも雑誌サイトなどで広告料ほしさに宣伝の片棒を担いでいたところはいくらでも見つかる。それらも詐欺の片棒を結果的にかついでいたという点では変わるまい。

ステマ自体については、私は宣伝の一手法だと思うのでどちらかと言えば寛容に考えているが、明らかな詐欺の片棒を担いだ場合(あるいは途中でその詐欺性がわかった場合)には問題は少なくないであろう。
この問題は、詐欺性の認識とその可能性にある宣伝をどのように取り扱うかがもっとも大きな争点だと思う。ペニーオークションでもまじめに営業しているところもひょとしたらあるかもしれないが、あくまで個人的感想としてはほとんどないだろうと思っている。
今回の件でもわかったことだが、この業者は2年間で6000万円の利益だったそうである。被害に遭われた方には許し難いことかも知れないが、被害額が比較的少なかったことはまだ大きな社会問題とならなくてよっかったし、多くの人はその胡散臭さを見抜けたのだろう。
今後も同じ様な摘発が続くかも知れないが、詐欺の片棒をかつがないためには倫理的な自戒が常に必要なのだろう。