Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

敏感な子供と鈍感な親

好き嫌いの激しかった子供も大人になればいろいろなものを食べることが出来るようになるケースが多いが、これは味に慣れたと言うよりは刺激に対して鈍感になったのではないかと感じることは多い。必ずしも味覚が低下していると言うわけではないが、慣れにより鈍感化する面と感覚の低下による鈍感化の両方があり、そのどちらが勝っているかという問題である。
子供の頃は味覚を表現するボキャブラリーも貧困であるため、自分自身ですら的確に表現することは出来ないだろうが、それでも刺激に対しては非常に素直である。自らが不快に感じる刺激は、体が生理的反応として拒絶するのではないだろうか。
もちろん食わず嫌いはこの分類には入らないのだが、好き嫌いが子供に多いのはそれだけ感覚が鋭敏だからではないかと感じる次第である。これは何も味覚の例だけではなく、痛さなどに対する耐性も同じである。注射や歯科治療などは大人でも好きな人は稀であろうが、一般的には子供の方が強く反応する。これも慣れで語ることは出来なくないものの、それ以外にも二つの面がある。一つは、味覚の場合と同じように神経が鋭敏であることによる当たり前の反応と、もう一つは心理的な心構えが子供の頃は未熟であるが故の過剰反応である。
大人になれば子供の頃の記憶はある程度残っていても、子供の頃の感覚までは覚えていない。結果的に、子供に接するときに自分の現在の感覚を持って子供の反応を理解しようとすることになりがちだ。心理的に未熟なことなどはある程度想像するが、神経が現実に大人よりも鋭敏であることを想定するケースはほとんど無いだろう。

まあ、子供の方が神経が鋭敏であるというのは私の予想であり、それが本当に正しいのかはわからないが、個人的にはその方が納得いく感じがしている。子供の方が幽霊を見たりするのも、それが仮に事実ではなかったとしても周囲の微細な変化を嗅ぎ取る能力が高く、それ故に誤認を起こしやすいというのはないだろうか。大人は一部の人を除いてそれを感じ取ることが出来ないのだ。高域の音を聞き取れなくなるのと同じように。

仮に、子供の方が鋭敏な神経を持っているとすれば、例えば叱られて叩かれるときに受けている反応はおそらく大人よりも大きいことになる。子供達はそれを上手く説明する能力が未発達なだけで、そのボキャブラリなどを有する子供が仮にいたとすれば、その不条理さを大声でわめき続けるかもしれない。
まあ、それを根拠に今の教育方法が悪いと言えるほど何かの意見を持っているわけではないし、体罰がそれだけ悪いものであると言うつもりもない。子供は精神が未発達で社会的適応能力を有していないので、それにはやはりしつけは必要であると思う。
ただ、子供の持つ鋭敏な感覚を上手く利用して、より適切な教育を行うなどの検討が成り立てばそれもささやかながら意味があるのではないかと思うのだ。あくまで、それが事実であった場合ではあるが。