Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

オリンピック男子サッカースペイン戦

昨晩は久しぶりに興奮してしまった。ここに至るまで、下馬評として男子サッカーチームのそれは決して高くなかったし、私もそう考えていた。優勝候補の一角のメキシコにも親善試合で勝ち、勝負に全くならないとは思っていなかったものの、これほどのサッカーを見せることができるとは予想だにしていなかったのだ。
加えて、関塚監督の采配には常々疑問を持っていたこともあって、スペイン戦は良くて引き分けではないかと予想していた。確かに、スペインの選手に少々酷かなと感じるレッドカードが出てしまって、日本にとってラッキーな面もあったとは思うものの、それ以上に堂々と渡り合った結果を誇りたい。
また、スペイン戦での選手起用の的確さ(戦術面を含めて)についても関塚監督を低く評価していたことは素直に反省したいと思う。ごめんなさい。。。

さて、スペインのオリンピック代表チームに感想はと言えば、上手いけど怖さのないチームという感じがした。もちろん、それでも日本より地力があるのは間違いない。個々のテクニックでは明らかにスペインの方が数段上である。パスワークの時のポジショニングが素晴らしく、パスの精度やトラップの能力が高いことは、ポール支配率が65%という高いものになったことからも明かである。
ただ、今回試合を見ればフィニッシュ(シュート)に行くどん欲さを全ての選手が共有しているような感じをあまり受けなかった。個々の怖さでいえば、明らかにメキシコの方が上である。それでも、怖さ以上に上手さが勝ってきたためにこれまで結果を残したのであろうが、結果的には前戦よりの激しいチェックには十分対抗できなかったという弱点をさらけ出したとも言える。
逆に日本は、これまでのどの試合よりも前線よりアグレッシブにボールを奪いに行っており、これもまたかなり良い試合運びをできたのであろう事は感じられた。決定力に劣っていたために、スコアは1対0となってしまったが、3点くらい取っていても全くおかしくない試合運びであったと思う。

今回の試合を見るに付け、前線よりの激しいプレスはパスサッカーにとっての天敵であると感じずにはいられない。かつて、日本はランキング的には韓国に勝っていたにも関わらず直接対決では苦杯をなめることが少なくなかった。韓国の日本に対する異常なまでの対抗心が言われることも多かったが、それ以上にフィジカルだよりの力でチェックに来るサッカーに対して、パス回しをして組み立てる日本のサッカーは相性が良くなかったのだと思う。もっとも、そのパスサッカーでもレベルをとことん上げていけば今のスペインA代表のような強さを得ることができるのだから、それが駄目というわけではない。ただ、取るサッカーの性質ごとの相性というものがあるのだなというのは凄く感じられた。
中盤からのチェックに対抗するには、一般に放り込みサッカーと言われるロングボールを多用した方法があり、実際日本はそうしたチームをどちらかと言えば苦手としている。放り込みサッカーは、前線にフィジカル能力の優れたフォワードがいればこそ生きるもので、今回のスペインも自らのプライドを捨てて最後には放り込みサッカーに転じていたのは印象深かったが、個人の怖さがなかった分結果を残すことはなかったのであろう。
もっとも、あくまでこれも予選リークの一試合である。このパフォーマンスを続けて予選を突破すること、できるなら一位通過すること。それが今後の日本代表に頑張ってもらいたい市場の点である。

ロンドンオリンピックのサッカーは、どちらかと言えば競技として人気が無いと言われている。実際、多くの売れ残りのチケットがあったことが明らかになっている。しかし、日本のような番狂わせを見せることが今後も起これば、意外と大きく注目されるようなことになるかもしれない。

とりあえず、今はおめでとうと言っておきたい。サッカーは面白いね。

今週のお題「好きなスポーツ」