Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

気になる中国・北朝鮮からの軍事兵器流出

まず、今すぐに現在の中国共産党政府が瓦解すると考えている訳ではない。一方で北朝鮮の場合にはその時期は中国よりも確実に早い。ただ、中国に余力があれば北朝鮮の動乱は中国が責任を持って始末を付けるであろう。だから、北朝鮮体制崩壊があってもそれが単独であれば核技術が無秩序に流出することはないのではないかと思っている。ただし、北朝鮮の暴発の可能性は少ないながらもあるので、注意は当然必要だろう。

さて、現在の中国を巡る見方は二つある。何度も触れている内容ではあるが、一つは巨大なバブル崩壊により社会的混乱が生じるだろうと言う意見。そしてもう一つは巨大な人口を抱える中国では消費者予備軍がまだまだ存在し、一時的な不景気からは再度立ち直ってくる。どちらかと言えば1950年代の行動成長気前の日本に近いのではないかという意見である。
両者は、全く逆のことを言っているようで実は並立する。前者は共産党一党独裁体制の瓦解を睨んだ政治的な視点であり、後者は経済的な視点である。仮に中国が分裂するようなことがあっても、一時的な混乱はあるだろうが強大な人口が消費や経済成長には寄与するのも間違いない。要するに、政治的には将来的な安定が続くとは考えにくいが、経済的には発展を続けて行くであろうと言うことだ。

そして、世界の資本家達はその発展を中国共産党政府ではなく、自分たちが得たいと虎視眈々と様子を窺っているのであろう。ただ、この政治リスクは決して過小評価すべきではない。共産党一党支配が崩れるとき、党の軍隊である人民解放軍がどのような勢力と結びつくのかが現状ではなかなか読めない。ただ、軍も必ずしも一枚岩ではない。政治的分裂が大きくなれば軍もその影響を無視できずに分裂する危険性も十分にある。
あるいは、分裂を阻止すべく軍が先頭に立てば超巨大な軍政国家の誕生である。

どちらにしても、日本にとっては地理的に近いため安全保障上の緊張が高まるのは間違いない。そして、単純に政治的な面のみで言えば日本からすれば中国はいくつかの国家に分裂した方が都合がよいのであり、私も日本はその画策に全力を尽くすべきだと思うのだが、ただその分裂に際する軍事技術の漏洩については大きな関心と注意を払わなければならないだろう。
中国は日本などとは比べものにならない個人主義(あるいは一族主義)の国家である。だからこそ中国共産党のようなより強い権限を一部に与えなければ国をつなぎ止めておくことができない。要するに、日本やアメリカのような民主化は理想としては望ましいのであるが、現実的にはその推進は国家維持を危うくしかねないのである(建前はともかくとして)。
しかし、グローバリゼーションの波は我が儘国家中国であっても完全に防ぎきれるものではない。逆に中国人民が豊かになればなるほどに民主化は強く求められるようになるだろう。個別には、民主化運動という形をつるのではなく、現状も多発している一部の権力者に対する暴動という形を取るのは、そこについて取り締まりが若干緩いこともあって今後も広がっていくと思う。

さて、この混乱は成長の痛みでもあるが、その成長は共産党一党支配という枠組みを超えるものであるのもおそらく間違いない。中国は、力を付ければ付けるほど国家維持に労力を割かなければならない。尖閣諸島南沙諸島に出てくるというのは、資源獲得的な側面も確かにない訳ではないが、それよりもナショナリズムを人民に演出する意味合いの方が強い。要するにガス抜きである。

ただ、経済的な成長とは別に政治的な混乱は今後も懸念が広がっていくだろう。さて、日本は中国の体制が今後どのようになるかについて十分検証を重ねているのであろうか。できることなら、軍事技術漏洩についても十分に考えていてほしい。その保有する量を考えても、中国の兵器が大きく流出するようなことになれば重大なテロの危険性を高めることになるのだから。

「体制が崩壊しなくとも、経済的な行き詰まりがあれば兵器流出の危険性は高まる。」