Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

韓国原発は大丈夫か?

福島原発事故以降、日本は脱原発へ進むというのが世論の大きな流れである。仮に一部の原発が再稼働されたとしても、今後の新設が容易に進められる訳ではない。ドイツのような積極的な脱原発ではないものの、実質的には消極的脱原発と言えるような状況になるだろうと言うことは比較的容易に予想できる。
産業上の問題なども多数存在するため、一部原発の再稼働などはあるだろうし、あるいは新たな火力発電その他も増設されるであろうし、それに加えて消極的ではあっても脱原発が進むのであれば日本の技術能力は様々な発電技術を発展させるであろう。それが定常的になるまでにはまだ十年程度の年月が必要であり、その間は様々な論議が為されるであると思うが、それでも原発依存が徐々に引き下げられるのはまず間違いがない。

そのような状況下で、日本が原発を輸出することに対しても批判が出たりしているが、純粋な技術としての原子力まで失って良い訳ではない。使用しない技術は自ずと廃れていく。仮に日本の脱原発が進むとはしても、輸出することにそこまで大きなクレームを提起することには違和感がある。今後も廃炉という長い付き合いもしなければならないのだから、廃炉技術まで確立させた上での輸出もあっても良いではないか。

さて、日本と原発輸出を競争している国がいくつかある。その中でもフランスと韓国が大きく競争相手になることも多い。フランスは欧州における原子力発電の雄であり、韓国は原発のコア技術は保有していないが原子炉建て屋を含めた全体としての受注を行っている。コア技術を有している大国は、日本、アメリカ、フランスである。
さて、その韓国は今後も国内に約12基の原子炉増設を予定している(wiki韓国の原子力発電所http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80)。さて、欧州が歴史的に地震がないことは多く知られているが、韓国も日本と比べて地震は確かに少ない。日本のようにプレート境界に位置していないことがあり、海溝型の巨大地震が発生しないためである。韓国人は、日本人では慣れている震度3程度の揺れでも大きく騒ぐと聞いたことがある。それだけ地震に対する慣れは少ない。

では韓国で巨大地震が生じないのかと言われれば、これは明確に違うと言える。朝鮮半島でも歴史的には巨大地震が何度か生じている。歴史的な資料が少ないために不明確な部分も多いが、それでもいくつかの歴史資料はM7以上の地震の痕跡を示している。
(参考:韓半島で発生した最大級の地震−1681年6月韓国東海岸地震−:http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp/rzisin/kaishi_20/28-Chu.pdf
さて、日本の建物の耐震基準は世界でも最も厳しいものである。それに比較すると、韓国における耐震基準が日本を超えるとは聞いたことがない。普段から地震を経験することが少ないため、ある意味当然かもしれないのだが、これが原子力発電所においても同じようなレベルであっては困るのだ。
さて、韓国の原子力発電所は基本的に韓国の東海岸に集中している。今後どの当たりに増設されるかは不明であるものの、韓国の人口が西側および北部に多いことを考えると、人口の少ないに東海岸に増設される可能性は高いであろう。
福島の場合は、その東側が太平洋であったため放出された放射性物質の大部分は太平洋上にばらまかれることとなった。それも確かに環境汚染として問題ではあるのだが、日本国民がその全てを受けることを考えれば地形的には幸いしたとも言える。この地域では偏西風により放出された放射性物質は東に飛ぶのだ。
さて、韓国にとっても自国内に放射性物質をばらまかないためには東海岸に作る方が有利なのだが、その東側に位置する日本としては万が一の場合にはまともに放出された放射性物質を受けることになる。これは非常に不味い。

内政干渉まではできないものの、巨大地震についての対策については十分な説明を受けたいところである(もっとも、決して耐震性が劣るなどとは言わないだろうが)。海流に乗ってやってくるゴミの漂着だけでも大きな問題なのに、放射性物質まで来ることがあれば大問題なのだ。
このあたり容易に交渉できるものではないものの、日本政府にはできる限りの対策を講じて欲しいものである。

「ゴミや黄砂、放射性物質など、国際的な紛争処理の枠組みを今以上に作っておくことも必要だろう。」