Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

増税の筋論

民主党内は、増税反対派が幅を利かせ始めて分裂に近づきかねない状況にある。私も個人的意見としては今すぐの増税には反対である。でも、この増税を巡る論議について増税が一切駄目だという話ではないところが興味深い。
自民党も、前回の参議院選挙においても増税は将来的に必要であって、景気回復時という前提を付けながらも消費税増税を行うべしとの考え方を明確にした。それを中途半端に利用しようとしたのが前菅総理であり、結果的に参議院選では大敗北に至った。

いろいろな世論調査を見ていると、国民は増税に全く反対であるわけではない。増税の必要性は認めているものの、広く国民に税をかけるならば現状感じている不公平感を減らして欲しいという感情があるのであろう。もちろん、それはマスコミが増幅させているという面が相当あると私は思う。
現状、マスコミがよく使うのは国会議員歳費を減らせとか、あるいは定数を削減せよと言うものである。別にそれが悪いと言うつもりはないが、どちらかと言えばピントがずれた論点であると思う。なぜそんな議論が出ているかと言えば、あまりにレベルの低い国会議員が多いと言うことであろうが、別に日本の国会議員数が世界的に見て多すぎるというわけではない。

元々大手マスコミは消費税増税に当初から賛意を示しているので、本来バーターとなるかどうかもよくわからない項目である国会議員定数削減を、まるで消費税増税の前提条件として国民に刷り込もうとしているように感じられてかなり気持ちが悪い。
国会議員定数を多少削減しても、可能な政府支出削減などたかがしれている。私は、そんなことをするよりも国会議員として最低の見識もないようなレベルの議員は、十分な勉強をして一定の見識を持つまでは国会塾などに詰め込んで徹底的に勉強漬けさせればいいのではないかとすら思う。まあ、それは冗談だがより能力のある議員を多く輩出させる方が、少数の無能な議員を抱くよりも国のためにはよほど意味があるだろう。

本来、増税の前提とすべきことは民間景気の回復を政府+霞ヶ関に義務づけることである。公務員給与は政府税収比率にするという意見もあるが、そこまで極端ではなくとも税収が低ければボーナスカットくらいはあってしかりであろう。公務員は国民への奉仕者であり、国民が苦しんでいるのであればその責任を負担するのはある意味当然である。
もちろん、単純に削減するというのは国会議員の場合と同じように能がない。本来は、優秀なメンバーが多く出ることが理想なのだ。気になるのは、何でも削減すればそれで良いというような風潮が広がり始めていることだと感じている。

私は、増税が結果的に日本の再成長を促すことができるのであればそれを否定するつもりはさらさら無い。ただ、現状の議論で出てきているのは消極的なやむを得ず論ばかりである。仕方なくと言う流れは最も程度が低い。本当に増税が必要ならば、その増税によって現在の不足を穴埋めするとかではなく、日本がどのように成長するかを示さなければならない。今、増税の必要性を訴える声にはその視点がまるでない。
景気が回復すれば、税収も増えて福祉に回せるお金も増加する。景気が回復しないのは日本の構造的な問題であって不可避であるなどと堂々と述べる人は少ないと思うが、実質的にはそれに近いことが結構言われている。
それはあくまでシステム的に行き詰まっているだけであって、大きなレジュームチェンジをできれば再成長ができないわけがない。

「日本社会に不足しているのは、多少の批判を恐れない積極性なのだろう。」