カマドウマの話
今週のお題「小さい秋、見つけた」
子供時代を思い出して秋といって思い描くものは、スズムシやコオロギなどの虫たちだった。
小学校時代の夏休みにはセミ捕りにかけずり回り、他にもキリギリスやトンボ、バッタなどあらゆる虫を追いかけてきた。もちろん、都会ではそうそう出会えない虫たちも田舎に行けば出会うことができる。
タマムシやカブトムシ、クワガタムシにカミキリムシ、道を歩けばハンミョウが道案内をしてくれるし、夏アゲハの幼虫を探しに柑橘類の葉の裏を舐めるように探す。
飛んできたテントウムシが口から出す黄色い液に驚き、カマキリのおなかの気持ち悪さも感じる。
今思えば、虫たちは友達であり、生け贄であり、実験台であり、そして生活の一部だった。
もちろん、子供の頃からゴキブリ(私の祖母は「ぼっかぶり」と呼んでいた)は嫌いだったし、ムカデやヤスデのたぐいも好きではない。
でも、そんな中でカマドウマはちょっと変わった扱いを受けてきた。
通称「便所コウロギ」と呼ばれる。別に便所で見かけるわけではない。
主に暗い場所や湿った場所に生息している。
見かけはやや大ぶりのコオロギに見えるが、コオロギの仲間ではない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%9E%E3%83%89%E3%82%A6%E3%83%9E
その長い後ろ足は強靱で、コオロギなど比較にならないほどのジャンプ力を有しているが、羽は持たない。
カマドウマは鳴かないし、雑食である。何でも食べる。だから人の生活に近いところにいる。
しかし、人に害を与えるような虫でもない。
ところが、他の虫たちのように草むらにいないと言うだけで、虐げられてきた可哀想な虫なのだ。
人の生活に近いところにいるという理由で、ゴキブリと同様に殺虫剤により容易に殺され、駆逐されてきた。
その上「便所コオロギ」などという人であれば相当酷いいじめのようなニックネームまでつけられている。
実際、人に迷惑をかけない虫なのにここまでなぜされるの??
やはり、虫は色が綺麗だったり、強かったり、飛んだり、鳴いたりしなければ価値がないのだろうか。
大人はともかく、子供にすら人気がないのである。
少し似た感じの愛でられない存在にはケラ(オケラと呼ばれることが多いコオロギの仲間で土に中に生息して、ジーという鳴き声の虫)がいるが、こちらは人前に出てこないという理由だけで虐げられてはいない。
どちらかと言えばカマドウマの方がまだかわいげのある姿をしていると思うのだが。ちなみに、カマドウマの繁殖期はかなり乱雑でコオロギのように秋に成虫になるというケースのみではないため、秋の虫という分類には実のところ当てはまらない。
ということで、私の妄想を広げていくとやや可哀想な虫としてのカマドウマに思い至ることと相成った。
都会では、カマドウマの生育している場所もそれほど多くはないだろうが、鳴かないが故にわかりにくいだけかもしれない。
あと、スズメの激減(かつての1/10程度)がニュースなどにより報道されて久しいが、虫たちは天敵がいなくなったことにより徐々に活動を活発にしていくのかもしれないな。。。などと思い巡らせた。
皆さんは、この不憫な虫「カマドウマ」、ご存じですか?
「カマドウマ、壁に当たって死ぬこともある。いくらジャンプ力があるとは言え、見せつけすぎだろう!」