Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

社会の不安定化

少し前にあったイギリスのおける暴動の根底には移民問題があるだろうし、それに加えて若年層の就労先がないという不況が重なり、本来受け皿となるべき社会主義の失敗が思想活動に向かうべきエネルギーを暴動へと流している。
直接のきっかけは格差であるが、大きな流れで考えると単純な格差と言うよりは格差の固定が問題ではないかと思う。

もう少し前の話になるが、山田昌弘はこのことを「希望格差社会」と呼んだ。
生まれてきた環境により、将来の希望そのものに格差が生じている状況。
それはアメリカンドリームとは正反対の状況である。
この格差における下層階級が、まだそれでも食べていける時代はよかった。
いや、最初から食べるので精一杯である階級が格差の底辺であれば、それは定常であった。
また、その下層に分類される人口が少なくても貯まるエネルギーが小さかった。

今の問題は、ややマシであると思われていたマジョリティが、今までより生活レベルが下がり始めたことではないだろうか?
技術進歩や貿易拡大によって社会が成長している間は、社会全体の生活レベルが向上するために、格差はあっても大きな意味でそれぞれ生活は進歩してきたのだ。
しかし、今はそれが下がり始めた。食べていけるだけではない。今までの生活を維持できなくなり始めた。そこに不満が充満するポイントがある。

専制国家であれば、こうした不満も恐怖で抑え込むことが可能だろう。
しかし、民主主義を目指せば目指すほど、抑え込みは難しい。
一種の独裁国家である中国は、現在も成長を続けている。その国でさえ、治安部隊の恐怖だけでは成長に取り残される者たちの不満を抑え込むのに必死な状況である。


現在、世界中でお金をばらまいている。
だからお金は世界に満ちあふれている。
ところがそのお金は偏在している。
特に一部に集積し続けている。

結果として、これまでの生活すらを維持できない人たちが増え始めた。
もちろん、その状況を諦める人もいるだろう。
ただ、母集団が大きくなればなるほど、不満を爆発させる人も多くなる。

中国は貧困が故にそれを爆発させる。
先進国は不況による格差の拡大が、それまでの生活を保障できなくなり始めることで、暴動が発生する。

どちらにしても、世界は不安定化し始めている。
日本は、なんだかんだと言いながら格差が小さいためまだ踏みとどまっているが、それが今以上に大きくなり始めればわからない。
きっかけは何でも良いのだ。
フジテレビ問題でも、反韓でも、反中でも。
それは実のところきっかけに過ぎないのだから。

「民主主義は普遍だが、資本主義は歴史を見ればスタンダードが変わり続けている。今回もそれが大きく変わるための前触れではないだろうか。」