Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

貧しい恋愛環境が日本を滅ぼす

 いつもの事ながら最初に断っておくが、私はストーカー行為を擁護したいとも思わない。ただ、ストーカーにしても相手との適切なコミュニケーションがあれば、ストーカー事件としては扱われないケースも多数存在する。そもそも、どこまで行えばストーカーに該当するかという明確な線引きがない。唯一あるのは、被害者側がストーカー的だと恐怖を感じること。

一方的なラブレター ストーカーの疑いで滋賀の男逮捕(http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130210/waf13021021230010-n1.htm
 この報道によれば、ラブレター9通と百件近いメールがあるらしく、逮捕された相手は元交際相手である。正直言えば非常に迷惑な行為だと思うし、女性側に同情の念を感じずにはいられないが、同時にこんな些細なことが全国に実名入りで広がってしまうことの方が怖い。
 事実として放置されたストーカー案件で殺人事件が生じていることがあり、警察沙汰になることはやむを得ないかも知れない。ただ、報道により一生の傷を負うほどの制裁が加えられるべきかという疑問は残る。報道が報じることで、ネット上にはほぼ永久的に情報は残されてしまう。

 上記のストーカーして逮捕された男性が何度もアタックした行為は、結果が異なれば「情熱が実を結んだ」なんて言う美談になってしまうものでもある。今回のケースがそうかはわからないが、よく転ぶも悪く転ぶも紙一重の差だと思うのだ。だとすれば、そこにチャレンジしたいと考える男性(あるいは女性)がいても全くおかしくない。このあたりの機微は常識で考えろと言いたいところであるが、恋愛なんて必ずしも常識のみで成立しているものでもあるまい。第三者としての冷静な目ではバランスを判断できようが、恋は盲目であって当事者には見えるべきものも見えないのだ。
 さて、ここで私が言いたいのはチャレンジに対するリスクの重さである。何度もチャレンジするが失敗した時、振られたと言うショックのみで終わるのか、誰かの介入を受けてあきらめるのか、今回のように社会から指をさされるレベルまで追い詰められるのか。今回のケースでは犯した罪に対して社会的制裁が大きすぎるのではないかと言うことだ。むろん恐怖を感じた女性側からすれば、いくらでも罰して欲しいというのも心情だろうが物事にはやはりバランスが重要だ。
 このようなケースは、ストーカー事件に関わらず他にもいくらでも見て取ることができる。些細なことで報道により実質的に社会的に抹殺されてしまうケースはいくらでも見付けることができる。新聞社などはマンパワーの不足を言うかも知れないが、本来は刑事罰と民事罰という明確な法制度が定められている。その不備はあるだろうが、マスコミの報道はその不備を補うどころか場合によっては助長し歪めてしまっているのではないか。

 私はもはや恋愛どうこうを言う年齢ではないが、このような報道を見るに付けてこれは恋愛に厳しい時代だなと感じずにはいられない。少子化社会は結婚の減少により引き起こされることについては何度も触れてきたが、その原因は何も若者の収入が少ないからだけではない。恋愛環境がどんどんと厳しくされている事があるからではないだろうか。
 確かに、ストーカーと定義されるような人は恋愛を行うスキルに劣っているのであろう。それはまさにコミュニケーション能力の低下が理由だと思うのだが、そこに対しての教育的取り組みや環境整備が取り残されていけば、仮に若者の給与が多少上昇したからと言って出生率が大きく上昇するとは思えない。
 マスコミを含めて、真に日本の将来を危惧するのであれば恋愛社会環境というものにもっと焦点を当てて、その整備をまず行うべきではないだろうか。