Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

第一印象

第一印象が非常に重要だとは良く言われる話であろう。
面接時などは印象ポイントが大きなウエイトを占めるだろうし、コミュニケーション能力としても自らの印象をコーディネートできることは重要だ。一度与えてしまった悪い印象はそれをぬぐい去るに多くの時間と手間を必要としそうだし、好印象を与えておくのはそれなりに大きなアドバンテージになるだろう。だが、敢えて言わせてもらえば私は第一印象にはそれほどの重きを感じていない。

第一印象とは、学歴や肩書きに似ている。入り口としては確かに意味を持つが、それはあくまできっかけに過ぎない。中身がなければ結局のところ意味など無いのだ。逆に言えば、本当の実力や魅力を有しているならば、第一印象などさほど気にする必要など有りはしない。
そもそも、付き合いにおいてそれほど重要性のない人にまで過度な気配りをする必要ないだろうし、逆に密に接しなければならない(あるいはそうしたいと思う)人に対しては、第一印象を覆す機会などいくらでも存在する。却って、最初に作り過ぎた自分を見せることにより実態とのギャップが悪い側に働くことすらあるだろう。
第一印象を演じてまで要しても、それは八方美人を演出するに過ぎないのである。もちろん、その結果良い評判が広がることが多少なりともメリットになる人も確かに存在する。だから、第一印象を全て否定するつもりなどない。もちろん第一印象はそれなりに意味はある。ただ、多くの場所で言われるほどの重要性はないと言いたいのである。
自らをよく見せるのはよいが、それ以上に普段の自分をレベルアップする方がずっと重要なのだ。
逆に考えてみると、第一印象を殊更意味があるように主張するのは、学歴や肩書きをひけらかすのと似ている。実態の自分を虚飾により大きく見せようということである。可愛く言えば背伸びと言うことであるが、子供のうちならともかく大人になっての無理な背伸びは少々哀愁を感じさせる。
それでも第一印象のインパクトが相手に大きな記憶となるという意見もあるかも知れない。ただ、仮にいつでもインパクトを与えることができるのであれば、必ずしも第一印象である必要はないだろうし、そもそも相手の記憶に残ることができるという十分な能力を有している。
それでも第一印象が差を分けるとすれば、おそらくそれはハイレベルの争いをする場合ではないだろうか。その僅差の優劣を戦う上では第一印象も容易に捨て去れるものではない。

その上で、もう一つ言えることは第一印象とは実のところ受け取る側に絶対的なイニシアティブがある。要するに、好印象と取るかどうかは相手側の胸先三寸だという訳だ。世の中の言説はこの点を大きく無視しているように感じる。
仮に相手が思うところとは別の部位をいくら飾り立てても印象論からすれば意味はない。
もっとも相手側がどのような好みや要求を持っているのかをリサーチした上で、それに合致した外見や態度を準備できるとすればそれは大きな意味がある。確かにそれも虚飾かも知れないが、プロに徹した飾り付けには私も大きな敬意を払うだろう。ただ、普通はそんなことまですることはあるまい。
通り一遍のそれらしいステレオタイプお茶を濁すものである。せいぜい、人を見る目がそれほど肥えていない相手に対して虚勢を張ることができる程度なのだ。
それでも若い内の恋愛などでは効果を発揮するうだろうから、社会勉強を積む上では多少の意味は認めよう。ただ、できればそんな練習は学生の内までにしておきたい。

第一印象は、マナーに反しない程度であれば無理に気取る必要など無い。逆に、面接や恋愛など一発勝負だと認識するのなら中途半端な第一印象を目指すのではなく、徹底的なリサーチのものに相手を騙し抜くくらいのつもりを持って自らを飾ればよい。もちろん、その後のギャップを生じさせなために不断の努力を自らに課すことにも繋がる。
第一印象が絶対的な場面でないのならば、むしろ自らをあまり飾り立てずに少しずつ実力により認めて貰う方が印象は良くなるのではないだろうか。

「第一印象を容易に上書きできないとすれば、できるように努力するのが筋である。八方美人が自分に有利とは限らないのだから。」