Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

虫の養殖

 随分と前だが、虫を食べるという選択(http://d.hatena.ne.jp/job_joy/20111031/1319986812)というエントリを書いた。ところが、ここに来てFAO(国際連合食糧農業機関http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E9%A3%9F%E7%B3%A7%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E6%A9%9F%E9%96%A2)発表の形だが昆虫食の話題が連日ニュースを賑わせている。実は、日本でも昨年ごろから昆虫食女子の話題がぼちぼちと報道されていた(http://www.asahi.com/national/update/0805/TKY201208040708.htmlhttp://giltrendh005.blog.so-net.ne.jp/2013-05-14)。

「昆虫バー」当たり前の時代がやってくる フォアグラにコオロギ(http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/130524/cpd1305240502002-n1.htm
食糧問題に昆虫活用を 国連、食用や飼料として(http://sankei.jp.msn.com/life/news/130514/trd13051408460002-n1.htm

 私も昆虫食の可能性を書いたものとしてあまり穿った見方はしたくないのだが、一種キャンペーンのようなこの動きは少々気にかかる。
 まず、昆虫食が飢餓地域において人間の生存に大きな役割を果たしてきたことは間違いない。日本でも作物の育ちにくい地域(同時に海で魚が取れないことも含む)では伝統的に昆虫食が伝えられており、現在でも観光資源として引き継がれている。また、考え方からすればエビやカニは海の昆虫と言っても必ずしもおかしくなく、私たちはそれを現に食しているのである。
 ただ、海のそれと比べて地上の昆虫たちは個体が比較的小さく、数を集めなければ人の腹を満足させることはできない。私たちも通常のエビ一匹ではお腹は膨れない。虫を主食として捉えることは非常に難しいことがこれからもよくわかる。現状では副食としての位置づけなのだろうが、もう一つには寄生虫や細菌などの感染問題がある。調理法によって対応できなくもないが、この問題の発端は今後想定される食糧危機を見越してのことだとすれば、調理法に依存するというのも難しい話でもある。

 いずれにしてもこれらの問題をクリアしようとすれば、虫の養殖というシステムが欠かせない。今でもエビなどは養殖されているし、単価の高い観賞用の虫はいろいろと繁殖され売られている。滅菌した状態で大量に養殖することはおそらくマグロなどよりはずいぶんと簡単だろう。
 もう一つ養殖が必須となる理由は、虫を主食としている生態系への影響である。鳥にしても爬虫類にしても虫を主食にしている生命は少なくない。私たち人間が勝手な理由で虫の大量捕獲を始めれば、こうした種別の生命を脅かすことになるのは火を見るまでもなく明らかである。

 さて、昆虫食の話が出る前にも人類の将来の食糧難を見越して、クロレラhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%AC%E3%83%A9)とかミドリムシhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%A0%E3%82%B7)など様々な構想が発表され実験が積み重ねられている(http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0502Y_V00C13A3000000/)。ただ、その効能には検証不十分な面も多く、同時にコスト面での問題も抱えている。
 昆虫の場合にも、こうしたプロジェクトを進めた場合には結果としてコストが見合うのかという問題が大きく表れるのではないだろうか。そして、遺伝子操作された大きく成長する昆虫が。。。

 あまり想像のみで話を広げても何なのでこのあたりで終わりにするが、現状の昆虫食キャンペーンの先に何があるのだろうかと考えながら見てみたい。