Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

アウトブレイク

 エボラ出血熱(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1)の広がりがなかなか収束の兆しを見せない。これまでも何度かの広がりを見せたエボラ出血熱ではあるが、早期の致死率が高いこともあって一定地域を越えることなく終結を迎えるというのがこれまでのパターンであったが、今回はどうやら明らかに様相が異なる(過去の患者数:http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2012/08221034.html、今回の患者数:http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/08040934.html)。その理由は、潜伏期間が延びたことや致死率が少し下がった(とは言え50%以上というのは十分高いが)ことがあるとされている。また、感染経路についてもこれまでの想定よりも容易に感染するのではないかと考えられ始めている(これまでは患者の血液や体液に触れなければ良いとされてきたが、防護服に身を包んだ医療関係者にも広がっている)。
 患者数に関する公式発表は、2000年にウガンダで発生したケースが425名と過去最大であるが、今回のケースではその収束が全く想定できない状況で8/4現在で既に患者数が1400名を超えている。如何に今回のケースがこれまでと異なるかがわかると思う。
 WHOも非常事態宣言を出している(http://www.asahi.com/articles/ASG855J04G85UHBI01P.html)し、国境なき医師団は国際的な協力がなければ手に負えない状況に至っていることを訴えている(http://thepage.jp/detail/20140624-00000023-wordleaf)。

 ゴシップレベルの記事かも知れないが、今年の4月段階で既にイタリアに飛び火しているのではないかというものもある(http://beforeitsnews.com/survival/2014/04/report-ebola-suspected-in-europe-broken-through-all-containment-efforts-2519338.html)。イタリア政府は否定しているとされているが、その後の動向が無いためなんとも言えない。もし広がっていれば続報がないのは少々おかしい気もする。
 さて、当初は西アフリカ3カ国(リベリアシエラレオネギニア)で発生と言われていた今回のエボラ出血熱の拡大ではあるが、アフリカ最大の人口を誇るナイジェリア最大の都市ラゴスでも広がりを見せ始めた(http://www.cnn.co.jp/world/35051862.html)。飛行機による伝播は事態の予想以上の拡大を示唆し始めている。アメリカでも罹患が疑われる男性が出ている(http://www.cnn.co.jp/usa/35051872.html)という報道もあるが、同時に可能性が低いというニュースも出ている(http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N9SYIV6KLVRC01.html)。アフリカとの結びつきが強いのはアメリカよりも欧州ならびに中国であるが、現時点でこの両者に広がっていないと信じられる理由も何処にもない(別に不安を煽るつもりはない)。
 そこで当面懸念しなければならないのは、報道に対する規制が少ないアメリカでは既にSNSやネット上などでパニック的な言動が出始めている状況であり、その極端な拡大は心配の種でもある(http://www.xinhuaxia.jp/social/42687)。同じ様なことは既に韓国でも問題となっており(http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0G40CF20140804)、ナイジェリア人の学生が国際会議への招待を取り消された。国連人権委員会への提訴という形で社会問題化し始めている(http://japanese.joins.com/article/533/188533.html)。

 さて、中世ヨーロッパでは黒死病(一般的には肺ペストと言われている)の流行により人口激減を経験した歴史があるが、この黒死病が肺ペストではなくエボラ出血熱と同じ様なウイルス性出血熱ではないかという意見もあるようだ(http://www.jsvetsci.jp/05_byouki/prion/pf159.html)。
 それが事実かどうかを私が知る術はないが、仮にそれが真実だとすれば同じ様な危機を人類は既に何度か迎えてきたことになる。もちろん今回のエボラ出血熱騒動が世界中に広がるのかどうかはわからないし、また特効薬が今後見出される可能性も低くないと思う。だから、中世の疫病の広がりと同じ様な事態になるとは思わないが、世界の交易を大きく阻害する可能性が高いという意味において懸念すべき事態であろう。現状、一部の航空会社が運行を停止し始めている(http://sankei.jp.msn.com/world/news/140806/erp14080601350003-n1.htm)。
 パニックについて、映画「アウトブレイク(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A6%E3%83%88%E3%83%96%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%AF_%28%E6%98%A0%E7%94%BB%29)」などのようなパニックも想像されるが、これは空気感染能力を獲得したという前提のモノであって、現状のエボラ出血熱騒動の状況とは大きく違う。もちろん、インフルエンザウイルスのように空気感染が可能になれば脅威レベルが凄まじいものになるであろう。
 日本でも「感染列島(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9F%E6%9F%93%E5%88%97%E5%B3%B6)」と言う形で映画化が為されている。この時のイメージは強毒型のインフルエンザという前振りがあり、現実には新種のウイルスということだったように思う。こちらは空気感染は無いものとして取り扱われていた。

 先月の中旬には中国の甘粛省玉門市において腺ペストで一人が死亡し、都市が実質的に封鎖されたとする報道があった(http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0PY06W20140723http://www.afpbb.com/articles/-/3021220)がその後の続報がない。中国の場合には情報統制が厳しく、現状では本当に腺ペストなのかどうかもわからない状況ではあるが、注意しておくに越したことはないだろう。
 兎にも角にも、現在はアフリカの動物が保菌者として想定されている(オオコウモリが疑われている)が、このような動物キャリアが世界中に広がらないことが最も重要なのだろうと思う。