Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

熱し過ぎない方が良い

 参議院選は、自民党の圧勝により幕を閉じた。個人的にはもう少し取るかとも思っていたが、まあだいたい事前の予測通りと言っても良い。この結果を受けて、朝日新聞毎日新聞は早速注文づけに忙しいようだ。

毎日新聞社説:衆参ねじれ解消 熱なき圧勝におごるな(http://mainichi.jp/opinion/news/20130722k0000m070242000c.html

(一部抜粋)経済を重視した政権運営への評価とともに、野党が批判票の受け皿たり得ない状況が自民の圧勝を生んだ。この結果を有権者から白紙委任を得たと錯覚し、数におごるようではただちに国民の信頼を失う。改革実行にこそ衆参両院の与党多数を生かしてほしい。

朝日新聞社説:両院制した自公政権―民意とのねじれ恐れよ (http://www.asahi.com/paper/editorial.html

首相が民意をかえりみず、数を頼みに突き進もうとするなら、破綻(はたん)は目に見えている。衆参のねじれがなくなっても、民意と政権がねじれては元も子もあるまい。誤りなきかじ取りを望みたい。

 個人的には、選挙結果が民意を最も的確に表すものだと思うので、朝日新聞の言う民意とのねじれとは正直何が言いたいのかがわからない(実はわかっているが)。大方針に賛成だから投票し、小さな問題にはそれぞれ反対意見があるという意味なのだが、小さな問題に関する意見に常に気を払うのは当然であり、それを民意とのねじれというのは部分を見て全体を想像する飛躍が過ぎるであろう。
 他方、毎日新聞の朝日を超えた突っ走りぶりは素晴らしいものがあるので、ここは生暖かく見守りたい。数年前の民主党大躍進の時も、あるいは小泉郵政選挙の時も、さらには社会党のマドンナ旋風の時にも熱き選挙は幾度となくあったがその結果は決して芳しいものではない。結局、一時の風に浮かれた選挙は理性ではなく感情で行動してしまい、判断を誤るものなのだ。だから政治への無関心が良いとは思わないものの、落ち着いた選挙であったことをまるで信任を受けていないように読み取るのは我田引水が過ぎるであろう。

 私たちは、感情で動く生き物である。だから、何かを成し遂げたいときには感情に訴えるのが常道手段でもある。しかし、感情に訴えかけるケースは往々にして理性には訴えきれないことが少なくない。理性のみが良いとは言わないが、両者のベストミックスが何より重要なのだ。裏読みするならば、感情で動く国民が多いほどにマスコミの誘導は成功しやすい。結果として、国の方針にまで間接的に影響を与えることも可能となる。熱が欲しいというのはその状況がなくなってしまった(マスコミが世論誘導できなくなってしまった)という事実に対する、恨み言なのかもしれない。
 今回の選挙は、民主党に対する失望を超えたペナルティ選挙であった。ただ、そこに熱はない。熱がなかったことを私たちはむしろ良かったと考えるべきだと思う。民意とのねじれを自問自答しなければならないのは、むしろ朝日新聞毎日新聞だと一度社説に書いてみてほしい。