Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ぞっとする話

 天漢日乗さんのサイトに信じられないような話が出ていたので触れておきたい。
中国の国立機関の研究チームが悪魔の実験 致死率の高いH5N1型鳥インフルエンザウイルスと感染しやすいH1N1型豚インフルエンザウイルスをミックスして「豚-鼠間で空気感染するウイルス」を作成してScienceに発表 国際的非難を浴びる(http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2013/05/h5n1h1n1-scienc.html
 その他の情報(http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2108.html

 エントリの最後にこの情報は捏造ではないかとのコメントが追記されているが、そうであればどれだけよいかとつくづく思う。危険性というものよりも功名心が勝ってしまう状況は、信頼よりも儲けを優先する中国の商売事情とあまり変わらない。要するに社会において生きていくうえでの優先順位の考え方が根本的に異なっているということである。
 これを文化の違いということはたやすいが、逆に言えば文化の違いは容易に看過できないものということにもなる。現在の中国は急速な発展の負の側面が数多く露呈している。それを誰もが来た道だと言うのは容易いが、だからと言って何でも許されるはずもない。一部には(SARSでもそういう意見があるように)生物兵器開発ではないかという意見も見られるが、仮にそうであれば公式に発表することはあるまい。あくまで、名を上げようという先走りが倫理を置き去りにしているのだと思う。

 少し前に日本でも鳥インフルエンザに関する論文公表が問題とされた(http://mainichi.jp/opinion/news/20120406ddm003040106000c.html)。これは情報の公開を行うのか、テロへの利用を防ぐために秘匿するのかが問われたものであり、議論の末に公開されたと記憶しているが中国の場合と同じではない。しかし、テロ問題を含めいかに慎重に扱われなければならないかという警鐘でもある。
 こうした比較を考えても、中国における倫理的な対応ははるかに劣っている。これが単に倫理にもとるという問題で済めば良いのだが、万が一にも作成した菌がパンデミックを生じさせるようなことがあれば笑い話では済まない。
 いや、確かにアメリカでも様々な研究が軍事的な面で行われている可能性は高い。こちらも倫理面では大して変わらないが、少なくともそれを広めてしまう危険性は中国のほうが随分高いように思うがどうだろう。私の中国に対する偏見がそう見えさせてしまうのかもしれないが、中国がそれを取り扱うのは危なっかしくて仕方がないのだ。それは危機感をどれだけ持っているかという問題に起因する。

 さて、今回の情報がねつ造かどうかはわからない。しかし、国際的な非難を浴びたことから今後は秘密裏に実験を繰り返す可能性も捨てがたい。特に、中国の人民解放軍の肝入りとして生物兵器としての開発が継続されないことを祈りたいものである。