Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

ダイヤモンドインパクト

 ロシアがこれまでの世界の埋蔵量の10倍にも相当するダイヤモンド鉱山があることを発表した。その発表によれば、世界の3000年分のニーズを賄うに相当するらしい。この鉱山の存在は40年以上前に発見されていたが、自国のダイヤモンド鉱山の価値(価格面で)を守るために秘匿されてきたとされている。このダイヤは、隕石の衝突により生み出されたものとされる。

ロシアの隕石クレーターに「数兆カラットのダイヤモンド」(http://wired.jp/2013/02/20/russian-diamond-smorgasbord/

 仮にこの報道が全て真実だとすれば、ロシアがいくらここで取れるダイヤは産業用や科学目的に使用すると宣伝していたとしても、ダイヤ価格は激変する可能性は小さくない。ただ、該当記事によれば昨年の9月には既に発表されていたものであり、今回の隕石騒ぎに乗じて持ち出してきた感じが否めない。だとすれば、関係者には当然既に知られている事実であるが、現状で価格の変動が生じたという情報は聞こえてこない。だとすれば、おそらくは宝飾用には適さないダイヤが数多く見つかったと言うことでよいのだろう。とは言え、これだけの大きな鉱脈であるからして良質で宝飾用にも使用できるものもまた見つかるかも知れないという可能性も捨てきれない。もしそんなことがあれば、ダイヤモンドの価格が大きく変動知ることは容易に理解できる。仮に原油の場合を考えてみれば、これまで確認されている埋蔵量の10倍の埋蔵量の良質で安価な油田が見つかったとすれば、価格がどのように変動するかは火を見るよりも明らかではないか。
 もちろん装飾品のダイヤと必需品の原油では考え方が違うという面もあるだろうが、希少価値の面が強いダイヤの方が使用により消えていく原油よりも値崩れが激しいようにも思える。すでにデビアスhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%93%E3%82%A2%E3%82%B9)の独占体制は崩れており、かつてのような一社が世界中の値段を調整できるという状況は崩壊している。そのキャスティングボートをロシアが握るという流れを目指しているのかも知れないが、どちらにしても量の増加が価値の低下を生み出すのは間違いないであろう。

 しかし、ここで一つ疑問い思うことがある。それではなぜ40年間も秘匿してきたものを昨年急に公表する必要性があったであろうか。別にわざわざ値崩れを招くような情報を公表する必要性は無いはずだし、もっと言えばソ連崩壊の混乱時期になぜこの大きな資源に目を付けなかったのかとも言える。少なくともロシア立ち上げ時期にこの資源が公表されていれば、ルーブルの大きな下落はなかったかも知れないし、国内の混乱も抑えられたかも知れない。
 とすれば、この情報はやはりインパクトのあるものでは無いと言うことなのだろう。量は豊富にあるが、宝飾用には適さないダイヤが山ほど見つかったと言うことだと思う。工業用に用いられるダイヤモンドは研磨用が主で人工合成ダイヤが用いられているが、この価格は金の1/10程度と天然の宝飾用ダイヤと比べればはるかに安い。だとすれば、採掘の手間をかけてどれだけの利益が得られるかと言えば知れているのであろう。

 もともと、ダイヤモンドの埋蔵量は決して少ないものでは無く、金の方が希少価値が高いという話もある。それを産出や流通量を抑制することで高価格を維持し続けてきたのがこれまでの状況だとすれば、その体制に大きな影響を与えないと言うことがわかっているからこそ発表したと考えるのが妥当かも知れない。
 まあ、話題としては非常に面白いと思うのだが。。