Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

与謝野問題

一時、マスコミから与謝野議員の自民党復党が決まったような報道が為されたが、それは拒絶されることとなったようである(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121114/stt12111408170003-n1.htm)。与謝野議員と言えば、自民党を出てたちあがれ日本に移籍し、その後消費税増税推進のために無所属となり民主党会派に入り閣僚まで務めた人である。建前から考えればそれが復党を許させることなど無いのは当たり前である。ところが、自民党の東京都連はそれを実現するつもりでいたようであり、それがマスコミの復党先走り報道に結びついたのではないかと思う。

現状の安倍総裁は経済状況を無視した消費税増税には反対であることを明確にしているが、実のところ自民党内でも即増税を目指す財政再建派は少なくない。与謝野議員はその筆頭格の一人であったが、見方によればそれを完遂するために禁じ手の民主党政権の閣僚になるというところまで踏み切った。自らの信念に殉じたという意味においては、彼は生粋の政治家と言っても良い。私は今すぐの消費税増税には反対の意見を持っているが、どちらが本当に正しいのかについては神様のみが知っている。
しかし、この移籍については少々個人的に不思議に思っていた。と言うのも公職選挙法第99条の2によれば、比例当選議員は別の政党に移籍すると議席を失う(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%B1%E8%81%B7#.E5.9B.BD.E4.BC.9A.E8.AD.B0.E5.93.A1)(新たに結党される場合は適用外)。民主党には入っていないが、無所属となり民主党会派入りした時点で実質的にはこの公職選挙法の適用を迫られる、あるいはその脱法的な行為をもっと追求されてもおかしくなかったと思う。まあ、法律によれば民主党に入らなければOKということではあるが、グレーゾーンを歩んでいるのは間違いない。
当時、倫理的な面をもっておかしいと叫ぶ人がいなかった訳ではないが、私の記憶に依れば自民党の追求は思ったほど強くなかったように思う(公開質問状:http://www.tokyo-jimin.jp/11event/yosano/yosano.pdf)。まあ、当時問題となっていた菅総理の違法献金問題やその後に生じた東日本大震災により消し飛んでしまったという面もあるかもしれない。

仮に、全ての支持者に離反して民主党会派入りをしていたとすれば、今回の報道のように自民党の都連から復党の動きが出るというのも少々変である。ましてや自民党候補の応援をしようなどと言う理由は、社会的なバランスからすれば非常におかしい。
だとすれば、最初から自民党たちあがれ日本も含む)の財政規律派を代表して民主党増税を成し遂げさせるというミッションを帯びて、与謝野議員は民主党に入ったのではないか。当時、民主党菅総理財務省の思惑に乗ってか消費増税を打ち上げていた。しかし、民主党にそれを実質的に進められる人材がいたとは思えない。それは、民主党の3年強の政権期間にパフォーマンス以外実質的に何もできなかったことが示している。
一方で、自民党側も自らが消費増税を行うことでダメージを喰らうことを大きく畏れていた。それは財政規律派でも同じである。できるなら民主党政権下でそれを行い、その果実のみを自民党が手に入れたいという思惑があってもおかしくはない。この財政規律派は財務省とは当然情報交換を十分行っているであろうから、財務省が野田政権になってますます暗躍したのは当然のことでもある。結果的に消費税法案は成立し、与謝野議員はミッションを成し遂げた。であるとすれば、ここに来てその労いも込めて自民党に復党させようという動きがあってもおかしくない。強いてい言えば、現自民党総裁が消費税に否定的な安倍氏になってしまったことが予想外だったかもしれない。他の候補者は、消費税に反対という人は少なかったのだから。結果として、与謝野議員は死して屍を拾ってもらえなくなった。

もちろん、これらは私の勝手な妄想に過ぎない。ただ、与謝野氏ほどの議員が執筆した書籍などでこき下ろしていた民主党に会派とは言え同じにしたことは、今ひとつ腑に落ちなかった。それは、崇高な密命を帯びていたからではないだろうか。
そう考えてみれば、復党という動きが行われた理由も合点がいくような気がするのである。もっとも状況証拠からすれば現実にはスタンドプレーである可能性は低くない。だから、あくまでこれは勝手なこじつけであり事実である可能性は高くないことは繰り返し書いておく。ただ、そんな妄想をかき立てる今回の動きであった。