Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

youtubeマーケティング

数日前、動画共有サイトyoutubeがランキングの設定方法を、再生回数から再生時間も含めた形式(詳細は不明)に変更するとの告知を行った。この情報が出回ると共に、ネット上では韓流ごり押し対策であるとの噂が飛び交ったが、ここにきて再生回数が4億回を超えたと言われビルボードでも2位まで上昇していた韓国のラップ歌手PSYの「江南スタイル」が一気に100位外まで落ちたと騒ぎになっている(http://www.rbbtoday.com/article/2012/10/16/96033.html)。
韓流アーチストがyoutubeのアクセス回数稼ぎ(proxyを使って世界中を経由させてアクセスしているらしい)を行っているのは以前より言われてきたし、実際現象面から見る限りまず間違いない。そのyoutubeの結果を再び韓国マスコミが大きく取り上げて流行を作り上げようとするマッチポンプスタイルは、倫理的にはどうかと思うものの法に触れることをしているわけでもない。
そのインチキを知っている人からすれば、専用のスクリプトまで作って行われている涙ぐましい努力を見て、怒りよりはむしろ哀れみを感じている場合もあったのではないかと思う。事実として、韓流はアジアや日本では見かけ上ではあっても一定の広がりは得ている。ただ、悲願であるアメリカ進出にはこれまでは何の役にも立っていなかった。
日本ではある程度の認知を得た「少女時代」も「KARA」もアメリカで成功している訳ではない。だとすれば、カウント稼ぎがあったとしてもPSYの(たとえ一発屋だったとしても)成功はそれのみの要因ではないのも間違いないだろう。youtubeへの工作が無ければヒットしなかったかも知れないが、同時にヒットが工作のみにあるのではないということだ。実際、PVを私も見たが「これはこれでありかな?」という気がしている。
日本でも数年に一度は謎のメキシコ人Carlito(カリートhttp://www.youtube.com/watch?v=KLYJhOt0RiU&feature=related)とか謎のインド人Dr. Bombay(ドクターボンベイhttp://www.youtube.com/watch?v=FTqgpQJkefo)が登場して人気を博す。もっとも実は両者は同じ人でジョニー・ヤコブセンhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A4%E3%82%B3%E3%83%96%E3%82%BB%E3%83%B3)というオチではあるが、こういうジャンルのニーズがゼロという訳でもないのである。そして、PSYの場合も傾向としてはあまり変わらないと感じる。

そう言えば、少し前にmegauploadというファイルストレージサービスがFRBに摘発され主催者が逮捕されたことがあったが、彼らもこうした無料のファイル共有によるマーケティングにチャレンジしようとしていたのは事実である。もちろん、それが不純な動機故のものであったのか大いなる野望によるものかは私にはわからないが、動画サービスを利用した楽曲のマーケティングについては日本人ももっと関心を持った方が良いかも知れない。
情報の世界において、概ね世界はボーダレス化されている。すなわち火の付け方次第では、お金のかかるマーケティングなしにでも世界的なヒットを生み出すことができるという証拠でもある。もちろん、韓流のやり方をそのまま真似ろと言うつもりはさらさらないのだが、アイデア次第で世界的なヒットを飛ばせる土台は既に出来上がっているのである。そして、その成功は模倣ではなくオリジナリティでなければならない。

PSYの江南スタイルという曲は、正直言ってオリジナリティを感じるほどのものでもないし、PVで見られる踊りも際立つものでは無い。ただ、個別のパーツではなく全体的なオリジナリティが時代のエアポケットに嵌れば、英語でなくとも成功はあり得るのだ。
もっとも、そうは言えどもPSYが何度もヒットを続けられるとは思わない。それほどまでには個性的でないのだ。

さて、日本のポップカルチャーは世界を目指してみようとこれを機会に考えるのだろうか。個人的には「perfumehttp://ja.wikipedia.org/wiki/Perfume)」が成功するかどうかを見守りたいと思っている。「きゃりーぱみゅぱみゅhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8D%E3%82%83%E3%82%8A%E3%83%BC%E3%81%B1%E3%81%BF%E3%82%85%E3%81%B1%E3%81%BF%E3%82%85)」と同じ中田ヤスタカhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E7%94%B0%E3%83%A4%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%AB)プロデュースであり日本発のオリジナリティがどれだけ浸透するかを少々楽しみにもしている。