Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

サッカー日本対フランス

現状の日本代表の力を考えればいろいろと課題も残る試合だったが、それでも11年前に0対5で相手にもしてもらえずに敗れたことを考えると感慨深い。
前半、日本代表が何もさせてもらえなかったのは、もともと早くからハードなチェックに来る相手には日本が相性が悪いのである意味当然の結果でもあった。フランスはリベリなど一部の主力を次のW杯予選のスペイン戦のために温存していたが、それでもホームで勝つんだという気力は充実しておりお気楽な練習試合であったとは言い難い。
そういう意味では現状のフランスは世界のトップを争うレベルではないが、欧州の厳しい争いの中で一定のポジションを維持してる強豪国と本気の試合を出来た事は日本としては大変良い経験になったと思う。残念ながら日本代表も前田・岡崎・本田という主力の前線3人を怪我で欠き、ベストメンバーではなかったがそれ以外の選手達が経験できたという意味においてもポジティブに捉えるべきものだと思う。

残念だったのは、前田の代わりを任されたハーフナーと本田の代役だった中村憲剛である。ハーフナーはコーナーキックの守備においてそれなりの役割を果たしたのは大きかったが、攻撃ではトップとしての役割を果たせていない。身長はフランスのDFを越える高さを持っているが、多くは攻撃時の競り合いで負け、何度か勝ったときでも味方にきちんとボールを返せていない。あれではトップ失格の烙印を押されても仕方がない。オランダのフィテッセでもトップに起用されないのは、こうしたボールキープやボール配球のコントロールがまだまだだからであろう。現在もオランダリーグで揉まれているのだから、是非とも身体能力の強化によるボールキープ(コントロール)力の強化に努力してもらいたい。DFWは日本の伝統ではあるが、今のままでは負け試合などの後半に出されるというレベルから変われないと思う。
同じく中村憲剛もキープ力の弱さがこのレベルの試合では目立った。もともと精度あるミドルシュートと良いスルーパスを配球できる力は持っているのだが、それは前を向けた場合であってそれができなければなすすべがなかった感じである。攻撃の要の位置で用いられていただけに、前半戦の一方的な劣勢を招いた理由の一つは中村がボールに前向きに絡めなかった事があると思う。体を強くするのは年齢的にもきついので、より機敏な動きなどでマークやチェックを外せなければ代表としてもアジア限定などにされる可能性がある。

また、現在ブンデスリーガで試合に出る事が出来ていない長谷部についても、試合勘がないのが致命的になりそうだ。運動量が決定的に落ちているわけではないが、パスミスなどイージーなミスが多すぎるし、手で相手を倒したファールなどはちょっと不味い。できることなら、リーグなどを選ばなくても良いので試合に出られるチームに移籍すべきだと思う。年齢的にはまだまだやれるところにあるだけに、Jリーグ復帰も含めて検討してもらいたい。

フランスは、前半のハードチェックは見事なものであった。おそらく前半のポゼッションは70%くらいあったのではないかと思うが、日本の守備陣が良かった事もあるがシュート数の割りに決定的な場面は多くなかった。ただ、後半メンバー交代とと同時に一気に攻め方が変わったので、体力的なものか出てきた選手の特性かはわからないが、日本はほっとしたのではないか。後半も同じサッカーをされていたら最後まで続かないものの日本は防戦一方だったと思う。
また、ベンゼマとリベリが同時にでていなかった事も日本としては助かった。両者のテクニックとパワーはさすがだと思った。あの勢いで攻撃を多重に繰り返されればいつかは失点していただろう。

日本代表の良かった面は、フランスのチェックが後半ゆるんだ事もあったがそのおかげで攻めの形を何度か見せる事が出来た事である。少なくとも後半は互角に近い戦いが出来ていた。ザッケローニが「シャイだ」と表現したように若干の気後れがあったとすれば、後半の戦いは大いに自信を付けることになったであろう。
川島のファインセーブは素晴らしかったし、相変わらずの体力に加えて足下も巧さも加わった長友はインテルで見事に成長している事を示したし、元セレッソコンビの創造性は世界にも通用する事を印象づけた。清武は予想以上にフィジカルの強さを見せたし、吉田今野のDFも十分に通用したと思う。

次はブラジル戦だが、フランス戦の勝利のおかげで真剣な試合が期待できそうである。あとは気持ちの面で負けることなく頑張って欲しい。