Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

江沢民の亡霊

一時期、胡錦濤を中心とする北京派がかなり優勢になっているとの情報が出ていたが、今年の春のある事件をきっかけに上海派が大きな巻き返しをしていたようである。私は今回の反日デモは北京派の起こしたものであろうと想像していたがどうやら習近平の画策らしい(http://sankei.jp.msn.com/world/news/120919/chn12091911090003-n1.htm)。これについて溜池通信(http://tameike.net/comments.htm#new)に書かれたいたのだが、恥ずかしながら私は予想を外してしまった。どうやらその巻き返しの裏には死亡説すら何度か出た江沢民http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%9F%E6%B2%A2%E6%B0%91)の亡霊のような姿が浮かび上がっている。その出自もあってか江沢民反日教育を強めた当事者であり、日本に対しては歴史問題で常に最強硬派である。日本との経済を含めた融和策を図る胡錦濤とは方針がかなり異なる。
今回のデモを含む騒動は習近平江沢民の路線を継承するという宣言でもあり、胡錦濤路線とは一線を画すというデモンストレーションでもあったようである。それは人民解放軍に対する強い指導者のイメージの誇示も大きく関係するであろう。実際、ここにきて主要なポストである党中央弁公庁主任が習近平の古来の友人である栗戦書に取って代わられたとされる。息のかかった人物をどれだけ党執行部に送り込めるのか、その駆け引きは熾烈なものなのだろう。
警察などがデモを先導していたとの情報もあって、青共団がデモの首謀者ではないかという情報も多かったのだが、なかなかどうして複雑なものである。

さて、まだ存命ながらも亡霊のように江沢民が現れた経緯についても情報がぽろぽろと出てきている。上海閥の巻き返しが、実は胡錦濤の重鎮の家族スキャンダルから来ているのだと言うから生臭い。先ほどの栗戦書にポストを取って代わられた胡錦濤側近の令計画の息子がこの春にフェラーリで事故を起こし死亡していたという。その情報が胡錦濤の知らぬところで箝口令が出され、それにも関わらず隠蔽工作江沢民の知るところとなっていた。中国におけるこうしたスキャンダルが政治の駆け引きにどの程度効果を発揮するのかは私にはよくわからないところではあるが、それでもわざわざ記事になるくらいであるから一定以上の意味を持っていたのだと推察する(http://kinbricksnow.com/archives/51808511.html)。逆に言えば、その程度のことで優劣が変わるほど微妙な勢力争いだということにもなるのかもしれない。だからこそ、強い指導者を印象づけることは何より優先されるとなるのかもしれないが、その姿勢にはそこはかとなく北朝鮮のような匂いすら感じてしまう。

とは言え、本来10月に行われる党大会の開催日程が未だに決まっていないというのも多くの注目を受けている。本来は、次の国家主席と目される習近平が仕切るべき行事でもあるのでまだまだ多くの暗闘があるのであろう。
権力争いの中身(真実とは言い切れない)については昔なら永遠に判らないものだっただろうが、少なくともこんな形で報道に出ているのは時代が変わったものだとも言える。その時代の変化に江沢民スタイルがフィットするのであろうか。デモ(実質的な暴動)を主導したことが権力を行使する地位にあるものプラス側の評価となるのかどうか、不謹慎な話だが見ているとなかなか面白い。