Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

成功と見下し

ある老舗企業は、お客さんのクレームを全て解決できるように努力しているといった話を聞いたことがある。それがどれほど無理なクレームであっても、できる限り対処方法を検討するという。それは、結局のところ自らの存在が消費者あってのものだと言うことを理解していると考えることができる。仮に消費者が間違った行動をしがちだとしても、それを主張により正すのではなく気づかせてよりよい方向に導くことで、社会との調和を図ろうとしているのかも知れない。
ところが、こうした対応が企業の大成功に繋がるとは限らない。多くの場合には、斬新さや新しい視点を製品やサービスに持ち込むことで需要を喚起し、その結果が企業活動の成功として導かれる。もちろん、個別のフィードバック無しに成功は得られないかも知れないが、消費者に生かされるという視点よりはむしろ自分たちが消費者を誘導しているという強く感じられる。

確かにTVなどのコマーシャリズムを考えれば、あるいは流行を引き起こす現場の事を考えたならば人々の関心や心理を誘導する事は企業活動にとって短期的な利益をもたらすだろう。それは企業の収益には大きく貢献するが、企業価値の向上や継続性につながるとは限らない。
実際、短期的な成功を収めてもそれをつなぎ止めるために、政府などに働きかけて自らの権益確保に走る姿を私達は何度も見て批判しているではないか。新しい事はその分飽きられやすく、それ故に流行を商売にすれば次々と新しい何かを立ち上げ続けなければならない。それは企業の宿命であるかもしれないが、情報が容易に広がるこの時代においてはだからこそ不安定でかつ困難な選択を続けなければならなくなる。
マスコミが情報をある程度統制できていた時代にはまだ対処の方法もあったかもしれないが、おそらくその状態は大きく変化している。情報を発信する側の誘導効果は短期的には功を奏するかもしれないが、長期的なそれにはなり得ないのである。そして、賞味期限はどんどんと短くなる。
だから、AKBでも韓流でもそうなのだが短い期間に最大の利益を得ようと必死になる姿が、逆sに社会から批判を浴びる事にもあるのだろう。

ところが、未だに古い過去の構図に囚われて社会や消費者を誘導していると考えているところは少なくない。最もそれを感じるのがマスコミであり、そして官僚や政治家と言っても良いだろう。
そろそろ過去の方法論が通用しなくなっている事には気づいているのであろうが、今からの時代に使うべきスタイルが現状ではまだ確立されていない。おそらく見つかってもいない。
暗中模索と言えば努力しているようにも聞こえるが、過去の影響に囚われ続けて思い切って足を踏み出せていないと考えた方がよい。
それ故に、過去の成功体験を根拠に未だに消費者を見下すような姿勢が垣間見える存在が多いのであり、それが消費者の反発を受ける原因ともなる。
今の時代は、企業の存続をどのように図るかという点についてもっと真剣に考えなければならないように思うのだ。

「過去の成功体験に囚われれば、成長も存続も困難になる。それは日本という国においても同じであろう」