Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

面子に拘る民主党をそれでも擁護するマスコミ

多くのマスコミがシンパシーを感じる民主党に対して非常に甘い報道をしているのは、既に多くの国民も知っていることであろう。
麻生総理の時に、自腹で銀座のバーで飲んでいたのをあれだけ叩き、それ以上の外食をしていた鳩山総理も菅総理もそれには一切触れない。さらに言えば、野田総理においても同じなのだが記事にすらならない。
クイズ形式の国会質問など、民主党が野党時代に飽きが来るほど行われてきたものではあるが、それすらかつては応援し、今自民党が似たこと(まだ民主党がしてきたのよりはマシとは言え、私もくだらないと思うが)をするとマスコミはそれを叩く。

民主党は野党時代にほとんど難癖の如く審議の拒否をしてきたが、今は自民党などが相応の理由を持って審議拒否をしても審議に応じるのが責務と書かれる。
そもそも、民主党が審議に応じられるようなレベルでないことをしているのは誰もが知っているであろうし、それが政策の実行性や国民のことを考えてではなく、単純に民主党の面子を守るために過ぎないのも実質的に国民には看過されている。

与野党協議をすると言うのであればもっとオープンなものを提案すべきなのだが、民主党が行っているのは水面下での秘密交渉に近い。だから、野党はそれには応じられないと断っているではないか。そもそもこうした交渉に対して誠実でない行為を民主党は既に何度も行っている。実質的に廃止になろうとしている子供手当(→児童手当に戻る)を「子供のための手当」と銘打ち、省略して「子供手当」と呼ぶなど姑息なこと甚だしい。こんなことをされた記憶も新しいのに、どんな協議に応じろと言うのだろうか。
オープンな議論を呼称してきた民主党は、実質的には秘密主義的でしかない。それは、能力がないから実際には秘密にしないとやっていけないと言うだけのお粗末なものであるのだが。。。

そんなていらくにも関わらず、未だにマスコミは(露骨にするのは気が引けるのであろうが)せっせと民主党に甘い記事を書き続ける。現在の責任与党は民主党である。だとすれば政策運営の責任は民主党にしかない。それを野党が悪いなどと書くのは片腹痛い。
もちろん、自民党が十分かと言えばそうではない。そもそも自民党の八方美人的な政策が現在の日本の状況を作り出したという意見には私も異論はない。ただ、それでも政党を構成する個々の国会議員の能力に関して言えば、民主党は全く自民党系議員のレベルには及ばない。いくら清廉潔白であろうが、いくら理念が素晴らしかろうが、それを実行できなければ政治家としては無能である。そしてだからまともな議論すらできないのだ。ちなみに、民主党の議員たちが理念が高いわけでも、清廉潔白でないのもこれまた国民には十分なまで知られている。すなわち、野党が如何に協力しようとも今の与党にまともな政権運営を行えるとは思えない。

昔から、私は自民民主を含めた全体的な政界再編成を期待してきたが、未だにそれは実現しない。結局のところ、自民党の持ってきた政党が生き延びるための因子である八方美人的なやり方が、民主党においても受け継がれるのみならず蔓延しているのである。だから、議論を戦わせて意見集約を計るのではなく、意見が異なっても適当にお茶を濁して政党として生き延びることが大前提になっている。
今求められているのは、政党が生き延びるための議論ではない。橋下大阪市長が社会に大きく支持されるのは、いつ辞めても良いという潔さが(仮に一時的なものではあったとしても)見えているからである。
ところが、それがわかっているからこそマスコミは却って民主党を擁護せざるを得ない。自ら作った政権交代という果実を失いたくないし、その上を行く変革により現状保有している権益を減らしたくもない。要するに、自己満足的な名誉(政権交代を御後押しした)と現状のシステムの維持がマスコミの目的となり、その結果が露骨な民主党押しに繋がっている。本当に重要なことは、既存体制を壊すことになっても真実を追い求めることではなかったのではないか。現状に満足してそれを維持しようとするとき、それは既得権益と化す。
すなわち、マスコミが攻め立てる既得権益に、既に自分自身がなっている。多くの国民はそれを意識しているが、当のマスコミのみはそれを意図的に無視している。馬鹿げた構図である。

「今の日本に不足しているのは、潔さと粘りという相反するものを同時に実現できる能力ではないだろうか。」