Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

消費税で財政再建はできない

大手マスコミは、ほとんど消費増税を断固として推し進めるべきだという野田総理の後押し報道をしているのは、ある意味戦前を思い出すようで気味が悪い。しかも、自民党がこの前の選挙で消費税10%を打ち出しておきながら、現在の民主党政権増税論議を否定するのはおかしいとの論調である。しかし、元々自民党は景気回復を待っての増税と言っていたはずである。景気が回復していない時点で期限を切っての増税論議に反対するのは全くおかしな話ではない。

私も将来的な増税が不必要だとは思っていないが、現時点でそれを行うことには大いに疑問を感じている。仮に増税議論を行うとしても、来年から、再来年からではなく、デフレ脱却を3年間確認してからや3%のインフレを3年確認してからなど、経済状況を考えた増税発動議論をするのが本来のはずである。
期限を切って今すぐにもやろうというのは何のことはない、単純に財政収入を上げたいがためにと言うことははっきりしている。まず消費税値上げをした場合、その次の年は確実に税収が減るであろう。しかし、それでも段階的に上昇するとすれば先食いの消費は発生しうるのも事実である。また、何年もの間消費を控え続けるのも不可能であって、細った消費は2〜3年後には元に戻るかもしれない。
ただ、現状の財政不均衡は消費税などではカバーできないのは当初からはっきりしている。

消費税増税1%で約2.5兆円の増収(消費が減退しなければ)というのが一般的な認識である。仮に10%にすれば単純には12兆円ほどの増収になる計算だ。しかし現状の財政均衡のためには40兆円ほどの増収がなければ成立しない。歳入と歳出はそれだけ乖離している。
さて現在の景気のまま給与が増えないのであれば、5%の消費税が追加されても国民はその5%(弱)の支出を切り詰めるだけであろう。だとすれば、消費税収入は増加せず企業収益は5%減少する。これでは経済は縮小するしかない。すなわち、法人税所得税が落ち込むと言うことだ。

考えた見たら非常に単純なことである。おそらく財務省もそんなことは当然知っているはずである。
それにも関わらず増税を推し進めるのは、おそらく現在上げなければ景気回復時にも政治家は人気取りのために税を上げないと考えているからであろう。だとすれば、好景気時にも税収は結果的に伸びずに困ってしまう。
だが、現状まで積み上がった政府の借金は好景気になっても変わらない。だからこそ、現状でどのような状況になれば(景気がどの時点まで回復すれば)増税するかの議論は必要だ。ただ、景気が悪い時点で増税だけを進めるのは明らかに間違っている。
それは、消費税を上げても税収が実質的に回復せずに民間景気を冷やすのが明らかであるからだ。

そもそも民主党の政策は両極端でおかしい。鳩山元総理は議論すら4年間しないと言った。まずそれが間違いである。議論は必要だ。ただ、それは景気回復後にすべき内容を今のうちから考えておくというものであるできなのだ。そして、現在の野田総理は期限を定めて(多少はずらすとしても)増税をするという。これも同じように間違いである。不景気時に増税して景気が良くなるはずはない。景気回復をその分だけ遠のかせるだけである。
このような極論を用いるのは、言葉としてわかりやすいからではあるが、それこそが正しさよりもわかりやすさを選択しているという意味で誤っている(それは小泉改革においても同じ傾向があった)。結果的には、国民の支持を集めようというパフォーマンスに根ざしているのだ。

かつて、2006年頃には実を言えばプライマリーバランスはほぼ均衡まで近づきつつあった。それは国民にとっては目に見えない好景気だったかもしれないが、確実に法人税所得税が増加していたのである。現状の40兆ある不均衡が、景気を回復するだけで解消できるのは明白だ。
ところが、現政権は何か景気対策を行ったのだろうか。それを一切せずに増税というのは本末転倒の議論であろう。

正直なところを言えば、TVなどのマスコミで騒がれる公務員給与の引き下げなども個人的には財政論議で行うのは正しくないと考えている。最も正しいのは民間の給与を上げる施策である。公務員給与が問題とされるのはあくまで民間との格差問題であって、その是正のために手がないと考える(あるいは容易には実現できない)からこその引き下げなのだ。

財政が均衡すれば国民が豊になり幸せななるなどと言う話は聞いたことがない。しかし、景気が良くなればそうなるのは誰もが知っている。それにも関わらず、国民の幸福が追求されないのはなぜなのか。その疑問について一切追求しない新聞とは一体何なのだろうか。

「財政を改善しないと(あるいは国債を減らさないと)日本が破綻するという嘘については、これを見て貰いたい。(「ヘッジファンド国債暴落→日本終了」のウソ
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