Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

野田総理無知のままTPP交渉参加を発表

本日の国会論議において野田総理のTPPに対する認識が以下のレベルであることが判明した。

①TPPが国内法に優越することを知らなかった
②10年間で関税全廃することを知らず、保護できる関税があると思ってた
③今からでは交渉参加は半年後。条件闘争出来ないことを知らなかった
④ISD条項を知らなかった
⑤TPPよりASEAN+6が国益であることを隠してた

ついでに、TPP加入でGDPが10年間で2.7兆円増という試算は
「農水業関連の現在の関税や規制を守ったまま」という条件での試算だったことが判明。

すなわち、TPP参加は日本の国益以外を理由として推し進められているということだろう。
なぜなら仮にTPPが日本の国益になるとしても、交渉を行うわけであるから当然上記の基本的な内容すら理解していないとは考えられない。
要するに、日本の国益を追求するために何を追い求めるべきかという詳細を全く詰めていない。

例えば、佐藤ゆかり議員の総理に対する質疑がネット上に出ている。
http://www.youtube.com/watch?v=XJtWmYBNKck
この動画を見る限り、重要な交渉に臨むだけの知識は最低限すら持っていない。
もちろん実際の交渉は担当の官僚が行うわけであるが、総理は対極的な判断を行えるだけの知識は有していなければならない。ところが、それすら保有していないようだ。この時点で、自らの意思により判断したわけではないのだろうと言うことがわかる。おそらくは、アメリカへの配慮や周囲の推進に熱心な議員などの意見をまとめたに過ぎないのであろう。総理は実際判断していない。斟酌したに過ぎないのである。

具体的には、こんな感じで答弁している。
「(TPPで発生する諸問題については)基本的には我が国の守ってきた法律で対応できるように交渉していきたい。」
条約よりも国内法が優先するから今のように反対論が大きいわけだが、そのことすら最終判断をする総理が認識していないと言うことは、日本の何をどのように守るのかについてまともな議論が為されていないに等しい。
その上で、条約が国内法に優先することを追求されて、しどろもどろになっている。
この程度の準備で、国会、そして国民に説明をしたとでも言うのだろうか?
ちゃんちゃらおかしい。
せめて本当に交渉するつもりがあるのであれば、この程度の答弁もできないような知識でいるのが恥ずかしすぎる。

少なくとも交渉に入るのであれば、日本の何を守るのか、どこまでは許してある一線を越えれば離脱するのかを決めておく必要があるだろう。ところが、この答弁を聞く限りその心構えすらできていない。
TPPは現状同時並行で行われている増税論議以上に、日本には大きな影響を与える。
そのことすら認識してはいないようである。

一度参加を表明すれば、日本が途中離脱することは不可能ではないが、TPPは元々日本を引き込まなければ意味のない交渉である。結果的には不成立になるであろう。そして、その時に交渉が不成立になった全ての責任を押しつけられるのだ。その損失にも耐えるつもりがあるのであれば、途中離脱もできないわけではない。
そんなことを知った上での交渉参加なのだろうか?

少し前に、G20増税の公約を行ったことを姑息だと私は指摘した。
今回も、国内に対して全くと言って良いほど質問にも答えられない状態で、参加を表明しようというのである。
それは、国民に対する大いなる欺瞞であろう。
姑息どころではない。
結局のところ、本当のところ何を理由にTPP交渉参加表明をここまで急ぐのかはわからない。

ただ、その理由の一番が日本の国益追求でないことは間違いなさそうである。
毎日新聞がすっぱ抜いたように、アメリカ(というよりはオバマ政権)の歓心を買うことに主眼があるとすれば、これほど国民をバカにした政権はないだろう。
鳩山と菅はバカで無能だったが、まだ国に多大な被害を与えるには至らなかった。
彼ら二人よりマシと言われた野田がこのていらくでは、さっさと解散総選挙をして貰いなるべく早期にTPPから離脱して貰う他はない。

ちなみに、鹿野農相や山田前農相は「交渉参加表明でなく、事前協議の表明にとどまった」と評価しているそうである。あほらしい。APECで表明すれば、それは国際的な交渉参加宣言と何が違うというのだ?

「鳩山と菅は独りよがりな行動で日本を混乱に陥れたが、破壊するだけのことをする能力がなかった。野田は、独りよがりではないのだが、独裁的手法で日本に致命的なダメージを与えようとしている。」