Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

そろそろ危なくなってきた韓国と中国

日本では韓流ブームがマスコミを賑わし、それに応ずるように嫌韓のデモが生じたりしている。
経済面で言えば、サムソン(三星)やヒュンダイ(現代)の輸出がクローズアップされ、サムソンの利益は日本の電機メーカー全ての利益よりも大きいなどと言われたのはほんの僅か前である。
日本経済新聞は韓国に倣えとばかりの記事を書き、一部の財界でも似た議論が巻き起こった。

もちろん数年前韓国の輸出企業が絶好調であったことは間違いない。いや、今でさえ表面上はそこまで悪化したようには見えない。
ただ、あくまで個人的感想で言わせてもらえば、為替安をフルに利用した短い春であったと思っている。
韓国の商品は、他国の会社のコピーであると良く言われる。
それ自体は発展途上の国では確かによく見られるものでもある。
かつての日本も程度こそ違えど、似た状況も散見された。
しかし、そこからのオリジナリティを彼らは追求しなかった。
それは長期的な利益ではなく短期的な利益を追い求めたからだと思う。

日本を少しでも早く追い抜きたい。
その気持ちが作用したのかどうかはわからないが、短期的な最大効率を目指したのだ。
それ故、サムソンはベンチマークと言っては日欧米の最先端の製品を模倣して、より安く提供することで世界的なシェアを拡大してきた。
発展途上の初期に顕れる模倣文化が、その後も継続してしまった。
現在、サムソンは諸外国からの数百件の訴訟を抱えている。
アップルからの訴訟により報道を賑わせているが、既に数年前より訴訟において実質的には負け続けている。
最終的には和解に持ち込んでいるので敗訴という言葉こそ踊らないが、一定のロイヤリティや知的財産の代償を支払わされているのである。

おそらく、現時点では模倣による経営拡大戦略が間違いであったことは認識しているであろうが、それは韓国の輸出政策の根幹になっており今更変えることなどできないのだ。
輸出企業は好調であっても、それは物価高に苦しむ国民との引き替えによる。
世界進出を煽ることで国民を鼓舞し続けているが、それには賞味期限があることは立てよりも韓国政府が知っているであろう。
だから、ここに来て日本に頼ろうとするような発言がいくつか飛び出している。
日本との通貨統合とか、日本と無制限の通貨スワップを結ぶなどと。
失われる自らの国の信用を日本のそれで代替しようというものである。
本当に輸出が好調で、国として調子が良ければ通貨は高くなる。海外投資は増える。
現実に発生しているのは、そろそろ我慢できなくなりつつある通貨安と、海外資金の流出である。
韓国政府は2000億ドル(約15兆円)を越える外貨を有していると宣言するが、その多くは別の金融商品に化けているのは知っている人は知っている。本当に使える資金は少ないと市場は見ている。
だから、資金が逃げるのだ。


中国も、そろそろバブル崩壊が顕著になってきた。
不動産価格は一部で暴落に近い早々を呈し始めている。
国内の不良債権は日本円で数百兆円にのぼると想定されている。
今では、建設重機が各所に放置されているとも聞く。
輸出による利益ではなく、お金をばらまいて国内の不動産開発による仮初めの成長をここ数年走ってきたが、実需を必ずしも伴わない成長の歪みはどこかで解消されなければならない。
アメリカは徐々にしか上昇しない元の価格が高いと常々言っているが、元の本当の価値はもっと安いかもしれないのだ。既に10倍近くばらまかれた人民元の量を考えれば、本当の信用は大きく毀損しているのかもしれない。

それでも政府に統制されている中国経済であるから、容易に崩れることはない。
今は、ドルに頼った輸出入からいかに脱却するかをかなり真剣に追い求めている。
元で貿易できるのであれば、いくらでも刷ることができるからである。

また、人民の多さ故に実需にまだまだ余裕があるという意見もある。
数の上では確かにそうであろう。まだまだまともな住む場所すらない人民は多い。
ただ、その人達に無料で(あるいは格安で)住居を提供できるほど無茶苦茶はできまい。
そんなことをすれば、不良債権を雪だるま式に広げていくことになる。
一種のサブプライムローンと同じである。

欧州も大きな通貨危機を迎えているが、今は中国と壊れ方を競っているように見える。
欧州はルールを変えて処理の先延ばしをしている。
ルールすらを隠して成長を飾っている。
ただ、世界は余っているお金の行き所が必要なため今のところはその危うい虚構にすがりついている。
3京円とも言われる全ての信用マネーが避難できるところなどないからだ。

アメリカ、欧州、中国などの新興国、、、それらが状況の悪さを競いながら、その状況を先送りしたり隠したりしている。ただ、その中ではアメリカがもっとも有利である。それは、ドルを刷っているから。
世界経済の血液はアメリカが作っている。

ここ2週間ほど、欧州を中心に大きく株価を上げ始めた。
いかにも経済が何とかなるように見えないことはない。
しかし、状況は何も変わっていない。
先延ばしが多少できると市場が感じているに過ぎないし、その急激な上昇は良い意味でも悪い意味でもパニックの一環なのだ。

「この先への引き金を引くのは、欧州であろうかあるいは中国であろうか。できるならば、日本が救済しなかったからなどと責任転嫁されないように気をつけて欲しい。」