Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

脳疾患としての精神病

精神病と言っても範囲は多種多様にわたる。
私個人としては、精神病は脳疾患というか脳の一部の機能異常が原因ではないかと思うのだが、後天的なそれが主にストレス等によりもたらされるのというのがなかなか事態を難しくしている。
本人も周囲も容易に病気であると言うことに気づかないと言うこと、そして一度レッテルが貼られれば容易には払拭できないと言うこと。
ましてや、もっともメジャーな鬱病について言えば擬態鬱病も存在して、その認定は難しい。
要するに、本当に動けないのか、あるいは怠けているだけなのかが判断しがたいという点である。

さて、少し前ではあるが鬱病を客観的に判定する方法が見いだせそうだという記事があった。
広島大、鬱病の客観的な「指標」を発見
http://sankei.jp.msn.com/science/news/110831/scn11083106010000-n1.htm
まずは、擬態のそれとを見分けると言うことで非常に意味があるであろう。

ただ、次のような指摘もある。
うつ病の血液診断」の光と陰
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20110913/222622/
鬱病の明確な認定が、新たな差別を引き起こすのではないかという懸念である。
ただ、差別という点で言えば鬱病などの心の病気が社会的にまだ受け入れられていないことがあるのだろう。
それは怪我であれば身体の部分的な機能障害がわかる。あるいは内臓疾患であっても同様だ。
しかし、脳の疾患は身体機能そのものではなく行動に大きく及ぶ。だから、なかなか受け入れにくい。

その他のケースなどでも、多動性障害(AD/HD)なども脳の一部機能不全が関係していると考えられている。
おそらく、多くの精神病がまだまだ解明されていないものの、脳内の機能障害あるいは脳内分泌物の異常などによる可能性は高い。これは、わかりにくいことではあるが明確な脳疾患なのであろう。
現実、鬱病が脳疾患だと明確にされたとしても、現時点で大きな効果のある治療法は存在しない。
その原因を取り除いて、心が修復する(おそらく脳の機能が元に戻る)のを待つという自己修復に期待しているのである。
うつ病wikihttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%86%E3%81%A4%E7%97%85

精神病と言えば、カウンセリングが主体となって行われており、あるいは抗精神病薬が投薬されるのが一般的である。日本ではそれほどでもないがアメリカなどは抗うつ剤は日常に一般的に存在する。
それが多い社会の方が良いのか、少ない社会の方が良いのかはなかなか微妙な話でもある。
少なくて済む社会が理想ではあるが、それすら与えられないとすれば問題であろう。
ただ、明確なソースではないものの抗うつ剤の使用が増えても自殺などを抑制できていないという報告もあるようだ。

別に精神病に限らず、人間は病気を自己治癒能力によって治すのが本来の状態である。
薬は、あくまで一時的な手助けに過ぎない。
だとすれば、精神病も同じ薬などの手助けを借りながら自己治癒力により直していくしかない。
傷口は無理をすれば再び開く。
精神病もおそらく同じ。
問題となるのは、その治癒の状況が目視などの客観的な指標によって評価しづらいと言うこと。

今求められるのは、上述のようなうつ病の例にあるような明確な指標が明らかにされること。
それと、その指標を目安にすれば社会復帰が明確にわかる状況であろう。
あるいは、復帰のための場所の提供。
その上で、心の病は怪我や病気と同じなのだという認識を広げること。
もちろん、そのシステムを整備していくのは国の大きな役割であると思う。
復帰できるかどうかわからないというプレッシャー自体が、心の病を難しくするのだから。

「確かに病気にかこつける人もいる。しかし、それ以上にそれで救われる人がいるのであれば価値はある。」