Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

モリカケ

 安倍内閣の支持率が30%を割り込んだ(https://mainichi.jp/articles/20170723/k00/00e/010/231000c)ようである。一部マスコミ(朝日、毎日、文春等)が追及する報道攻勢はあたかもロッキード疑惑かと思わせるようであるが、最終的にこの問題で安倍総理が犯罪者になると考える人はあまりいないだろう。この流れができた最大の要因は、「関係していれば辞任する」といった旨を勢いで発言したことにあり、安倍一強で報道者としての愉悦を味わえなかった一部メディアがこれに飛びついた動きであるように感じている。要するに、「それなら辞任にまで追い込んでやろう」といった執念のような感情が呼び起されたわけだ。
 実際、マスコミの怒涛の様な疑惑連呼の最中に、秘蔵っ子である稲田防衛大臣の軽率な発言も飛び出たこともあり、これまで高い支持率を誇ってきた安倍政権の支持率は急落した。上記のように、私個人としての見立てはモリカケ問題は政権を引きずり落とすようなインパクトはない。もっと言えば、正直なところ行政的な手続きの瑕疵はあったとしてもそれは役所内の問題であり、総理の首に届くような問題にはなり得ない。メディアは、必死にその関連付けを意識させようとしているが、それは自民党内部の闘争を引き起こすことを促している。ご多分に漏れず、石破元大臣が各メディアに登場している。政権を揺さぶるには内部の分裂といった感じであろうか。

 しかしその背景には第二次安倍政権が強すぎると言った暗黙の集合認識がある。その原因の一端は、民進党を含む野党が弱すぎて安倍政権が国政選挙で連勝していることである。国民は無意識のうちにバランスを取ろうとするので、安倍政権が勝ちすぎる状況には微妙な違和感を感じている。これは、好き嫌いの問題ではなく中庸を取ろうとする無意識的な行動だと思う。バランスを取りたいという感情があるにも関わらず、それ以上の民進党の体たらくにより満たされることなく時間が過ぎてきた。
 同時に、政権中枢がどうかはわからないが、長期政権の弊害が与党議員の発言や行動の傲慢さで散見されていることも付随的な要因として考えられるであろう。そのことは、消極的選択として既にメディアなどでも取り上げられている。アベノミクスが、思うほどの効果を国民に感じさせていないということもあると思う。

 だが、民進党政党支持率が全く向上するように見えないように、おそらく政権支持率が低下しても政党支持率の動きは大きく変化しない。個人的な意見を言わせてもらえれば、「都民ファースト」は全国的な政党としては大きな力を持ち得ない。小池百合子氏についても政治的な能力はそれほど高くないと評価している。オリンピック問題でも豊洲問題でも、正直グダグダの結果しか出していないにも関わらず高い支持率を誇っているのは、メディアの応援による部分が大きいと感じる。
 逆に言えば、メディアは未だそれだけの力を保持している。一方で、最終的な敗者はメディアであろう(http://netgeek.biz/archives/99317)という声も出始めた。私もその意見に同意する。主婦層や高齢者はその親和性からリベラル系への傾倒が強く、メディアの報道攻勢の影響を強く受ける。メディア側とすれば、最終的な結果は有耶無耶として疑惑のままに残せればよいのだろうが、徐々にではあるが「モリカケ」もメディアが言うほどの問題ではないという意見が広がり始めるであろう。とすれば、メディア(特に毎日新聞が突出している気がする)の信用度がさらに下がることになると私も感じている。

 逆に気になるのは、メディア側もそのことは意識していないとは思えない。むしろ、そこまでのリスクを負いながらなぜこの報道攻勢をかけるかということがある。今回の報道は「〇〇の疑惑!」というワイドショーが方の報道を新聞が行い、それをテレビが追随する形で行われている。
 これまで新聞が暗に馬鹿にしていたテレビのワイドショー型の報道に舵を切ったのである。そして、メディア支配の総力を挙げて政権を潰しにかかった。何をそんなに追い込まれているのか? それが私としては最も気になっている。特に今こそ、政権基盤が危ういと感じさせるような報道で世の中の認識を塗りつぶしてしまおうという雰囲気がかなり強く匂う。

 一部メディアの努力は以上の通りであるが、個人的な予想であり政権支持率は一時的に20%代半ばまでは下がるかもしれないが、今の状態が続けばおそらく時間をかけて戻していくだろう。それほど時間をかけなくとも、ある程度までは戻るのではないかと見る。別に安倍政権が最高というつもりはないが、それに代わる存在が今は全く見当たらない。民進党議席を伸ばせばよいと思う人が少ないのは、政権支持率を見ればわかる。都民ファーストが選択されたのも次善の策がそこにしかなかったからであろう。
 とは言え、今回の騒動で良かったと思う点がある。それは自民党内の派閥の動きが生まれ始めたからである。政党内野党としての喧々諤々たる議論の方が、国会における民進党との茶番よりはずっと建設的であると感じている。先祖がえりが良いとは思わないが、新しい形で自民党内でそのような議論がなされるきっかけになれば、私はむしろ良かったのではないかと思うのだ。自民党が選挙に強い安倍依存では、これまた国として不味い状況だと思うからである。世界情勢が混迷する現代では、今後もある程度強いリーダーが望まれるのは今後も間違いない。それが生まれるような下地ができれば都合が良い。

 半年から1年後には、新たな事件が起こらなければ「モリカケとは何だったのか?」という報道が見られるようになるのではないかと思う。