Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

SNSリスク

 Twitterが「バカッター(馬鹿発見器の意味)」と呼ばれるようになって久しいが、もちろん馬鹿な行為を発信する人の割合がTwitterにおいて非常に高いという訳ではないと思う。たまたま、一部の突出した人たちがSNSへの記載において常識はずれの行動を取っているのが目立つだけであって、社会の中のおかしな人だけが抽出されているということではあるまい。確かに目立ちたがり屋だからこうしたツールを利用したがるということはあるのだが、目立ちたがり屋ではないがこうしたツールにも興味のない常識はずれな人も社会にはごまんといる。
 こうしたツールは、本来身近な範囲での自己の存在を確認する上ではそれなりに有効なものだと思うが、オープンな状況では考えている以上に様々な危険性も孕んでいると見た方が良い。
 近頃のSNSは、オープンなコミュニケーションツールとしての立ち位置を明らかにしている。Facebookがその典型だと思うが、匿名で可能なTwitterであっても発信情報から個人を特定することは可能である(よほど念入りに隠さなければ)。問題が生じるまでは詮索されることは少ないだろうが、問題点の認識を自分で必ずできるとは限らないが故に数多くの炎上騒ぎが生じているのは明らかであろう。その点において、通常私達が抱くよりもずっとリスクの高い行為であると言うことは認識すべきである。
 逆に言えば(推奨するようなことではないが)もし仮に馬鹿な行動をしてしまったとしても、SNSで発信しなければ(もちろんされなければ)社会に大きく広まりダメージを受ける近年拡大しているタイプのリスクを回避できる可能性もある。

 SNSのリスクという意味で興味深い記事があった。

SNSの内容で不採用にしたことがある人事担当者の割合は70%(http://news.livedoor.com/article/detail/9642207/

 私は、はてな以外ではFacebookTwitterもLINEさえもSNS系は一切しない派であるが、特段それで社会生活上困ったということはない。ちなみに言えば、私はここにおいても匿名で通しているし現時点でそれを明らかにするつもりもない。私の中の人を知っている方も、そのことにご配慮いただけるとありがたい。
 しかし、若者の間ではLINE等を使っての連絡も多く行われており、それ無しには友人(仲間)関係を十分に構築できないというケースもあるだろう。もちろんツールが無ければ友人関係を築けないかと問われれば必ずしもそうとは言えないと思うが、自分(あるいは積み重ねてきた自分の歴史)に自信のない場合には関係性の中に自分の居場所を築こうとするのは当たり前のことであろう。そして、仲間との関係性を強めるため(イコール自分のポジションを固めるため)に内輪ネタをこうしたツールにて披露してしまうのも自然な流れであろうか。
 ただ、近年の就職戦線は大量応募・大量不合格が当たり前にもなりつつあり、記事にもあるように如何に落とす理由を探すのかという流れになっていることは比較的容易に予想できる。学校名で落とすというのも一つの手法であろうが、将来的な不祥事の芽を摘んでおくと考えるのも企業防衛的には理解できる面もある。

 ただ、企業としても異才を獲得することを考えるのであれば、上記のような些事を理由に選考から外すというのはデメリットとも言えるだろう。要するに採用のための労力とコストを削減するために、SNSを安易に利用しているということに過ぎない。
 逆に、かつて自分を売り込むための紹介ビデオを作成し有利な就職に成功した話をアメリカの事例として聞いた覚えがあるが、逆に言えば就職のために虚飾に彩られたSNSを作り出す者も出てくるであろう。もっとも、ホームページレベルで言えば不可能ではないが、リアルタイムにどんどんと流れるSNSの場合には後で容易に取り繕うことも難しいとは思う。
 FacebookTwitterなど外部からもアクセスできるツールの場合には危険性は比較的わかりやすいが、LINE等のややクローズドなSNSでも別の意味での危険性は残る。まだ、現段階ではそれほど取り上げられているケースはないと思うが、身内のコミュニケーションツールであるからこその裏切りにより誰かを貶めることが可能となる。閉鎖されているという安心感が予想以上の解放感を与え、常識では許容されない内容も書き込みやすい。
 井戸端会議であれば「言った言わない」の問題にすることもできるが、記録に残るSNS系の書き込みでは明確な証拠が残る。仲間内だからと言う安心は、実のところ仲間として固まるためのツールにおいてはあまり役に立たないのだと思う。

 SNSは非常に気軽に人とつながることができるツールであることは間違いないが、他方で「いいね疲れ(http://lier.jp/1713/)」を引き起こすことは知ってる人も多いと思う。あるいはLINEの「既読疲れ(http://matome.naver.jp/odai/2140015677850832101)」なんて話も出ている。
 繋がることは、孤独感を癒すまではいかなくても自分のポジションを知る上で重要な手段であることは間違いないだろう。そのこと自体は、昔の近所づきあいと基本的には何も変わらない。強いて言えば場所と時間の制約を解き放っている分、確かに見かけ上自由度が増したようにも感じられる。
 しかし増加したのはおそらく集まるための選択の自由のみであって、クローズドであればあるほど差異は少ない。私の認識が正しいかどうかは自分で判断しがたいが、コミュニケーション能力さえあれば他の手段で間違いなく代替できる。
 逆に、コミュニケーションが容易にとれる分だけリアル社会におけるコミュニケーション能力を低下させているという弊害もあるだろう。

 こうした弊害やリスクを理解した上で用いるにはSNS非常に便利なツールであろう。ただ、現時点では前述のようなリスクに関する理解度は、オレオレ詐欺に自分は引っかからないと考えている高齢者と同じレベルであるように感じるのだがどうだろうか。