Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

割り箸パニック

 知っている人も少なくないだろうが、日本で使用される割り箸(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%B2%E3%82%8A%E7%AE%B8)の95%程度が中国産である。その中国産割り箸には様々な薬品(防かび剤や漂白剤等)が含浸させられている。薬剤が十分に除去されていればよいが、割り箸の生産などは中小企業が大部分であって、その上で食品偽装を見ても衛生上の品質確保を十分に期待できるものではない。

水槽に入れたら金魚が死んだ…中国産猛毒割り箸の恐怖(http://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/taishu_9802
割り箸も有毒 中国製、毎年800億膳(http://www.epochtimes.jp/jp/2014/03/html/d76536.html

 この記事にあるほど酷い例が実際にどれだけあるかは疑問であるが、食品と違い輸入時にも十分な検査が義務付けされているわけではないのもまた事実である。すなわち、現状では輸入企業の自主検査に委ねられているのが精いっぱいの状況ではないか。しかも、中国に生産を委託するのはコストダウンのためである。口の中に入れるものとして消費者の不安感が募るのは間違いない。
 そもそも割り箸は日本で発明されたものである。そして、かつて丸太から削り出される端材を有効活用する意味で生産されてきた(爪楊枝なども同じ)。しかし、そのうち日本で生産するとコストが嵩むようになり現在ではその大部分が中国産となっている。逆に日本側では端材利用が進まないことから益々林業が疲弊する(とは言っても端材による影響は小さいだろうが)という負の連鎖が続く。
 もっとも、中国産の食料品を東南アジアに拠点を移したからと言って必ずしも品質が保ている訳ではないように、問題の焦点は品質確保をどのように行えば担保できるかにある。割り箸も生産地を東南アジアに変えれば良いというものではない。むしろ、スーパーのレジ袋と同じように国産のものを一定のコストを負担して利用する方が望ましい。

 一時期、環境問題に取り組み姿勢を見せるために割り箸の使用を控えようという運動があった(マイ箸運動:http://www.my-hashi.jp/)。ただ、日本では元々製材した時に捨てられる端材を割り箸に利用していたため、割り箸の利用は決して環境破壊につながるものではない。
 むしろ、輸入している割り箸の方が丸太をそのまま割り箸に利用しているケースが多く、コンビニなどで出される割り箸を使用しないことは日本以外の国における環境問題としては意味があるかもしれない。ただ、全ての割り箸を使用しない方が良いというほど単純な問題ではない。
 例えば、森林・林業学習館のHPには以下のように記されている。

デニーズは、森林資源の有効活用を考え、1997年から年間で約4,000万膳使う割り箸は全て吉野杉の建築端材を利用しています。また、ナチュラルローソンでは2004年から、ミニストップでは2006年から同様の取り組みを始めています。(http://www.shinrin-ringyou.com/topics/waribashi.php)

 要するに、効率的にh罪などを利用する取り組みを行うことは、逆に環境にもよいのだという知識を持つことが重要であろう。もちろんコストは輸入物よりも確実に高い。

 また、割り箸リサイクルの運動(http://www.ceic.info/waribasi/waribasi.htmlhttp://www.ojiholdings.co.jp/sustainability/social_contribution/chopstick/index.html)も見られるが、現状では割り箸のコストと比較してのリサイクルコストが小さくないことから、一部の大学生協などを除けば運動が大きな広がりを見せていると言えるほどでもないようだ。

 さて、この割り箸に関する衛生上の問題は大手メディアが伝えておらず、まだ日本でそれほど大きな話題となっているわけではない。しかし、一連の食品品質偽装事件を受けて間違いなく重大に捉えられるであろう。割り箸は日本においてあくまでサービス品としての位置づけであるため、おそらく食品ほどの品質管理を期待することはできないだろう(その食品すら信用できない状況にあるのだから尚更である)。
 現在ではカーボン製や金属製のものが提供されているところもあるが、私としてはこの問題が広がって認知されることで、日本の林業振興のためにも一定のコストを負担することになっても(一膳3〜5円程度)国産材の利用が進められることを期待したい。