Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

シェールガスバブルの終焉

 アメリカはシェールガス(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%82%B9)革命により格安のエネルギー資源を得て復活するとの希望が少し前に広まったが、早速赤信号が灯りつつあるようだ。

シェールガス」バブルの崩壊は目の前、日本のエネルギーが危ない(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39682

 シェールガスは、もともとガスが集約して存在しないために広く浅く分布し、目の前に存在しても容易に採取ができない種類ものであった。しかし近年の掘削技術の進展により等により、効率的かつ安く採取ができるようになったことがシェールガス革命という言葉に繋がった。現実に、アメリカのガスのコストは信じられないくらい大きく下がり、日本もそのおこぼれに預かろうと多くの企業が出資その他で群がった。
 ただ、欧州では環境保護を目的にしてアメリカほど突っ走らなかったし、シェールガスの埋蔵量のみで言えば中国が最大の資源保有国であるとも言われている(採取技術を手に入れれば)。何もシェールガスアメリカの専売特許ではない。

 上記の記事によれば、2012年頃からシェールガスの問題点は一部で知られるところになっていたようだが、問題点はなかなか明らかにされてこなかった。排出取引(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%92%E5%87%BA%E5%8F%96%E5%BC%95)詐欺(詐欺とは規定されていないが、日本のみが貧乏くじを引いたという意味で詐欺のようなものだと私は思っている)のように夢を語る甘い言葉に多くの獲物がかかるのを待っていた感じすらする。
 ガス田の寿命が予想以上に短いために常に新しい場所を開発し続けなければならないとすれば、おそらく現在知られているような安価なガス価格では今後継続していくことは難しいであろうし、同時にエネルギー源としての寿命も限定されるかもしれない。少なくともバラ色の将来像を見せて売れる訳ではないだろう。
 もちろんこの記事を全てのソースとして論じるのは、良い話ではないだろう。今後も出てくるであろう、新たな情報を待ちたいと思う。それによりより正確な状況の推移を認識できる。また、間違ってはならないが上記記事が事実を言い当てているとしてもシェールガスが全くの詐欺と言っている訳でもない。ただ、世間を賑わせている言葉を全て信じるのは非常に危険性が高いと言うことである。STAP細胞など新しい発見は数々あろうが、それが社会に還元されるまでにはまだまだ様々な試練は存在し、シェールガス自体も期待が先行しすぎた感じがある。あるいは期待感を上手く利用して利益を得た者がいると言っても良いかも知れない。
 とりあえず、アメリカの景気拡大局面においてシェールガスは一定の役割を果たし、それがロシアのガス価格を押し下げ世界の構造にまで影響を与えた。あるいは可能性を信じた多くの者達は、シェールガスバブルのダンスに興じてきた訳だ。
 もちろん、今後も新たな技術革新によりガスのロスを減らすなどの効率化は図られるだろう。そこには日本の技術が大いなる貢献を果たすと私は信じている。ただ、そこに至る道のりは決して夢一杯の可能性に満ちたものとは限らない。これまでも多くの場面で経験してきた失敗と苦難の道のりであるだろうと思うのだ。

 どんな場合であっても、一極集中に依存することは短期的なメリットを私達に与えたとしても、長期的な生存可能性(継続性)を保証するものでは無い。むしろ、継続性を毀損する側に働くことが多いと考えた方が良い。シェールガスの淡いバブルも同じ様なものである可能性があると言うことは忘れないでおきたい。