Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

海江田ではダメだ

 私は民主党を支持しないが、民主党が一人前の政党になって欲しいとは願っている。現時点では下野の効果が効いており自民党も数に任せて無理難題を押しつけている状況ではない。一部のメディアのように特定秘密保護法の成立を暴挙とみなす人にとってはそう感じられるのだろうが、私はやや修正すべき点は残っていると思うものの基本的には賛成である。修正すべきと考える最も大きな点は秘密保持の期間であり、60年という期間は長すぎる。
 しかし、政府の秘密保持の方法をきちんとルール化することは必要だと考えている。そもそも、こうした政府(関係者)の秘密保持問題は以前から何度も取りざたされており、尖閣問題などもあって民主党政権時代にも提起されていたはずである。朝日新聞などは扇情的に批判するが、その中身が非常にお粗末なのが笑い話程度にしか思えない。
 もちろん、法律の恣意的運用が懸念されるという点はわからなくないが、それ自体は現在でも行われていることである。そもそも尖閣ビデオは秘密に該当するのかどうかをメディアはどのように伝えてきたのだろうか。そして、外国に政府機密を流す数多くの政治家や公務員が放置されていることをどのように認識しているのだろうか。

 この法律を、韓国や中国が否定的に捉えるのは当然のことである。ただし、それは公平な見地に立って表明しているものでは当然ない。彼らは、この法律の施行により日本の情報あるいは日本を通じて世界の情報を得ることが困難になることを問題視しているのである。非常に利己的な理由から、日本のこうした秘密保持に関して神経をとがらせるのはある意味当然のことでもあろう。もちろん「当然」という言葉が用いられる理由には、日本と敵対するという意識が込められていることが悲しくもあり迷惑でもある。
 メディアが畏れるのも、自らが秘密に触れ得なくなると言う恐怖が先に立っている。もちろん、彼らが率先して海外に情報を流している(それはすなわちスパイである)ということを言っている訳ではない。それよりは、機密情報を掴みながらそれを報道しないという「情報クラブ」から追い出されることを畏れているのだろうと思うのである。
 何のことはない、情報を持っていることが一種の特権階級であるという認識がその根源にある。だからと言ってその情報を有効に使う効果的な手段を知っている訳ではない。もちろん犯罪者として捉まるようなこともしたくない。あくまで情報にアクセスできるという権利を個人的に楽しみたいという状況だ。その姿は、あたかも自宅で札束を数えている姿にダブって見えるような気さえする。

 私も政府の暴走は看過するつもりはない。自民党政権が長く続けば、当然それにより驕りが生じ始めるであろう。それはいつ頃の話かはわからないが、政権が長く続けば続くほどにその可能性は高まっていく。本来メディアは狼少年のようにずっと政権の批判に明け暮れるのではなく、必要な時に必要な形でそれを訴えかけるのが重要であり、それこそがプロのジャーナリストの神髄だと思う。
 しかし、ほんの僅かな動きですら過敏症のように反応し、また内容を風呂敷を広げるようにふれ回っていく。これは逆に言えば世論の感受性を麻痺させ、彼らの訴えの効果を減じてしまう悪手である。そんな当たり前のことすら認識できないメディアが冷静な分析や評価をしていると考える人はいないであろう。

 そして、同じことは本来自民党のカウンターパートになることを期待されてきた民主党にも言える。海江田代表は、特定秘密保護法案を「天下の悪法」だと言い切り廃案に追い込むべきだと気色ばんだ。もちろん、現状の政治状況を鑑みれば民主党がいくら力んでも法案成立を差し止めることなどできやしないのだが、果たして一部マスコミと組めば状況を変えられるとでも思っていたのであろうか。そして、この法案の問題点が明らかなのであれば修正案を出すとか対案を出すなどの方策は考えなかったのであろうか。私からすれば、審議拒否や不信任案提出などをするヒマがあればよりよい法案を生み出す努力をすべきであったと思うのだ。
 少なくとも尖閣事件の時の政権与党であったのだから、政府として秘密をどのように取り扱うべきかについては最低限認識を保有していたはずである。実際には、恣意的に秘密を決めて不自然な対応を繰り返した訳であり、秘密の扱い方を決めないというのは政府が恣意的にそれを取り扱う方が良いという考えなのだろうかと勘ぐってしまいさえする。もちろん現実には効果的な手すら打てずに、存在感のを示すだけで手一杯なのはわかっているが、民主党の復活を密かに期待している私としては悲しい限りである。
 海江田氏は、民主党を復活させるにはあまりに能力が低い。正直言えば、政権奪取後の代表の中ではまだマシな方ではあるが(個人的には、野田>海江田>>>鳩山>菅)、それにしても政治的なセンスのなさにがっくりしてしまう。中国の識別防空圏撤回決議に民主党が欠席したこと(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131207/stt13120711160003-n1.htm)はマスコミの情けであまり報道されてはいないが、これも全くセンスのなさに膝をつきそうになる。
 それに代わる誰かが居るかと考えても今すぐに思いつくメンバーが見あたらないが、それでも最近の政治的判断力のなさを考えると海江田氏は早々に取って代わられるべきではないかと強く感じた次第である。