Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

左派論理

 昔は、左派的な思想は論理的で右派的な思想の方が感情的かと思っていたが、最近では左寄りな人たちの言動の方が感情的で、むしろ右寄りの人たちの方が若干ではあるが論理的に見える。もっともこれは私の主観的な感想なので、全体を平均したとか言論の傾向を分析したとか言うものではない。確かに一部の左派には過激派もいたが、それと同じくらい理性的な識者も存在した。私自身の思想とは異なるものではあるが、一定の論理的説得性を持っていたように記憶している。
 自分なりにその理由を考えてみたのだが、戦後の大部分において新聞はどちらかと言えばリベラルな(というよりは左派系の)傾向示すが、これは権力の監視役としての機能であるので方向性のみを考えれば必ずしもおかしい訳ではない。現在は、政策の是非のチェックというよりは自らのポリシーに近いかどうかで記事を作っている傾向が高く、政策の是非を冷静かつ論理的に説くというスタンスには見えにくい。その姿勢は、一見論理的な姿を取っていても結構矛盾が大きく、少し調べるとボロが出るというレベルのものも少なくない。
 だからこそ、論理性が低いことを意図してはせず可はわからないが新聞に限らずメディアに登場するようなリベラル系を標榜する人物が、論理的に問題点を突くというよりは勢いで権力を批判するという流れになっているのではないか。もちろん、左派系にも数多くの理論派は存在するだろうが、それよりは事件性やトピック性がメディアを賑わせる。

 要するに、メディアが論理的な識者をメインに取り上げにくくなってきているということではないだろうか。同じ話で言えば、右派の場合もセンセーショナルな人を取り上げているわけではあるが、扇情的な人物同士の論理性のレベルに差が出ているのだろうと思う。
 本来は、思想的な体系こそ違えど双方の論理的思考や体系を有する識者同士が議論を戦わすのが良いと思うが、これがおそらく視聴者・読者的には人気が薄いのだろうか。イメージ論で恐縮ではあるが、戦後の様々な問題や論争を経て左派は論理よりも扇情が効果的と学び、右派は情緒や保守のイメージ論のみでは不足すると危機感を持ったのかもしれない。
 しかし、現状はそれよりも左派を装った扇情者が自らの人気を博し、その人気を利用しようと政党やメディアなどの様々な団体が摺り寄っている構図が顕著である。しかし、例えば山本太郎に代表されるような彼らのことを「左派」と呼んでよいかどうかについては大いに疑問もある。彼らが行っているのは、感情の暴走による破壊行為を目指している。感情は確かに大きなムーブメントを起こす起爆剤となるのは事実だ。ただ、だからこそその暴走は何よりも恐れなければならないものでもある。

 一度暴走を始めてしまった感情のうねりは、個人の場合でも容易に制御できるものではないし、ましてや集団となれば社会常識などを容易に逸脱してしまうこともある。学生などの暴走も、さらには一部の先鋭的な宗教団体の破壊的活動も、そして古くは革命もそれにあたる。中世のような圧倒的な身分社会を打倒するには革命という暴力的な手法を用いなければならなかったかもしれないが、現代社会では十分とは言えない面もあるが社会を変えるための力と可能性は誰にも付与されている。
 革命を錦の御旗に掲げる行為自体が時代錯誤なのである。もちろん、現代の扇情者たちは「革命」などという物騒なレッテルを貼られた言葉を持ち出すことはないかもしれないが、結局のところ不安を煽り感情を操作しようとすることは何も変わらない。
 しかし、おそらく彼ら自身それをコントロールすることなどできやしないだろうし、またその気概もおそらくない。なぜなら、彼らは自らの存在を誇示するためにそれを用いているにすぎないのだから。リベラルを標榜する新聞もメディアも基本的な構図は何も変わりはしない。その証拠というほどではないが、他人の失敗や問題点を思いっきり追求する彼らこそが、最も身内に甘い組織であり団体であるのは誰もが知っているであろう。本来、現状の問題点を変えて新しい理想の社会を生み出そうとするつもりがあれば、先ず隗より始めなければならないのは当然である。
 それなしに、他人の粗探しのみを行い感情を持って社会を扇動しようとするものは、左派でもなんでもなく単なる扇動者だと思うのだ。在特会(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E6%97%A5%E7%89%B9%E6%A8%A9%E3%82%92%E8%A8%B1%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E5%B8%82%E6%B0%91%E3%81%AE%E4%BC%9A)もしばき隊(http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%88%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%B0%E3%81%8D%E9%9A%8A:今は名前が変わりC.R.A.C)も実質的には何も変わらないし、彼らの背後にいる人間も同じ穴のムジナだと思う。

 私は、自分自身の考え方とは相いれないことは承知しているが、しっかりとした論理的な思考で語られる左派の論客の登場を期待したい。