Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

先兵国家

 アメリカでの慰安婦像騒ぎも今は小康状態であろうか。少し前には矢継ぎ早に手を打ってくると思ったが、ここに来て在米日系人の本格的な反対運動が湧き起こったこと(http://sankei.jp.msn.com/world/news/130805/amr13080503360002-n1.htm)などもあり、戦略に変化が見えてくるのかもしれない。ところで、こうしたアメリカにおける慰安婦像建設運動について日本のメディアはあまり報道せず、仮に出てきても韓国の名前のみであるがその背後に中国の影があることは既に知られている(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38672)。
 日本では、韓国人全てが反日活動に明け暮れているように感じられるかも知れないが、現実には大部分は日本を羨ましく思えど積極的な反日行動を取りたいと思っている訳でもない。それは在米の韓国人でもあまり変わらないようである。
 ただ、日本を擁護するようなことを言えば『親日』のレッテルを貼られ社会的に抹殺されてしまうお国柄でもあり、そのことをカミングアウトすることは人生を賭けての冒険となる。普通に考えればそこまで正義感や事実究明に燃えなければならない義理はない。多くの日本人が韓国の社会問題に興味がないのと同じくらい、多くの韓国人は内心ではこの問題に強い興味は持っていない。

 ただ、メディアが反日的な言動を発する者ばかりを取り上げるために、比較的文化人や識者にそれを誇示するものが多い。こうした韓国の反日行動を利用して、自らは手を汚さずに日本にダメージを与えようとしているのが中国であるが、その意図を知ってか知らずか見事に乗せられてしまっている韓国は外から見れば非常に残念なポジションに自ら足を踏み入れているように見える。
 もちろんだからと言って日本がその境遇に思いを馳せる必要など更々無いが、正直言ってこのつまらない論争(慰安婦になった方々の心労には思いを及ばせるが、それと現在の日本が国際的に辱められるのは別であると私は考えている)を早々に収拾したいところであるが、首謀者が上手く裏に回っているので(というか韓国があまりに上手く踊っているので)早期解決の糸口は今のところ見えない。
 ちなみに韓国世論に政治側から影響を及ぼしているのは親北朝鮮の左派議員たちであり、こちらを考えれば北朝鮮の傀儡とも言える。現実には、金は中国戦略や人的貢献は北朝鮮関連と言えるのかもしれない。

 さて、シリア情勢は化学兵器の国際管理下に置くと言う話が出て(http://sankei.jp.msn.com/world/news/130911/erp13091100140001-n1.htm)アメリカとロシアが合意にまでこぎ着けた(http://www.cnn.co.jp/world/35037245.html)。本当ならアメリカとロシアの協調を日本が演出できれば良かったのだろうが、残念ながら今の日本外務省にそれをお膳立てできる人物は居なかったようだ。もっとも、今回合意に至った国際管理下に置くというスキームが現実的なのかと問われればこれも怪しい。仮にシリア政府が本気で隠すつもりであれば決して不可能なことではなく、十分信用に値することができないものを信用して始めて成り立つ手法なので、アメリカがこの結果により何かを得たとは思わない。むしろ、オバマ大統領の発した「アメリカは世界の警察官ではない(http://mainichi.jp/select/news/20130911k0000e030181000c.html)」発言の衝撃の方が実のところは大きいのではないかとさえ思う(もちろん次の大統領が掌を返すことができるが)。
 このシリア問題も、イランが背後でいろいろと画策していることは知られている(http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323779204579041483820085174.html)。もちろんそれはイランとイスラエルの睨み合いの中で生まれてきたものではあるが、直接対決よりはシリアなどを利用した間接的なさや当ての方が好ましいと考えている部分もあろう。

 この両者において見て取れることが、一定以上の大きな国家が自己の力を前面に押し出すのではなく、別の先兵国家を利用して裏側から工作する状況が増えてきているとい面ではないか。アメリカも世界中でいくつもの裏工作をしているが、それでも韓国を利用する中国ほどの狡猾さはなかったようにも思う。
 もちろん、苦しむ韓国(あるいはシリア)という素材があるからこそ成立すると言えなくもないが、国家の信用が国家の力(武力)により賄いきれないという近代以降の新しい巨大国家像が垣間見える。先兵国家はコバンザメのように強い国家に張り付いている訳だが、それは利用しようとして実際には利用されてしまっているという非常に苦しい現実を感じさせる。
 もはや、国家は子分国家(悪い時にも面倒を見る)を持ち得ない時代になった。韓国が夢見る古き良き属国のスタイルはおそらく復活はしないだろう。