Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

見ているのは常に国内

 金正恩第一書記が早期に失脚する(金王朝の崩壊の)可能性についてかつて触れた(http://d.hatena.ne.jp/job_joy/20111220/1324306830)が、思っていた以上にしぶといというか着々と体制固めを進めているようにも見える。暗殺計画が未遂に終わったとの報道(http://sankei.jp.msn.com/world/news/130313/kor13031314210003-n1.htm)もあるが、現状ではなんとも言えないところである。ただこうした背景もあってか、最近は休戦協定の白紙撤回を始め挑発的な言葉が飛び交わない日がないくらい好戦的な姿勢を見せているが、これこそは国内の臨戦態勢を高めることにより体制の引き締めを行っている過程だと見て良いだろう。
 だから、彼らが国外に向けて見せる強い言葉は実を言えば国内に向けて見せるパフォーマンスだと考えることもできる。もっとも、面子を日本人が感じる以上に重要視する彼らであるから、だからと言って安心できるものでもない。

 同じようなことは韓国でも中国でも言える。彼らが威勢の良い言葉を言うのは、基本的にその相手そのものに脅しをかけているように見せながら、国内の不満分子をなだめるために用いているというのが現実のところであろう。ただ、内情が判っているからといってそれを看過する必要性が日本にある訳ではない。そこまで彼らに気遣う必要性は、何らかの利権を持つもの以外には無いはずだ。
 そう言えば、対馬の寺院から盗まれた重要文化財の仏像が韓国内で発見されたが、未だにそれを返還する姿勢を見せていない。条約上は日本に返還しなければならず、いくら地方裁判所が事実関係(日本が正当に取得したことが証明される)が究明されるまでは返還してはならないという「とんでも」判決を行っているが、条約は国内法に勝るためその拘束力は本来無い。まあ、600年も前の事実の正当性を証明することなど不当性を証明するのと同様に不可能であり、悪魔の証明http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%82%AA%E9%AD%94%E3%81%AE%E8%A8%BC%E6%98%8E)が求められていると言っても良いだろう。
 さて、その仏像が元々存在していた韓国寺院の住職が、対馬の寺院に別の仏像を返すとして訪問の希望があること(http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20130312-OHT1T00194.htm)が報道されていた。馬鹿げたパフォーマンスであるが、これもその韓国の僧侶が二歩の対馬の寺院のことを考えているのではなく、国内に向けてのパフォーマンスをしていると考えればこうした言葉がなぜ発せられるかはわかりやすい。
 彼らにとって、盗んだ仏像を返すという結果はそもそもあり得ないことであり、ただ寛容な姿勢を見せたという行為(その裏側には仏像の帰属を認めさせたというパフォーマンスが隠れる)を見せつけようとしているに過ぎない。結果的には、日本から如何に譲歩を引き出し利得を得たかという競争のようなものである。

 中国の場合にも同じような態度がそこかしこに見られるが、結局彼らが勝ち取ろうとしている信用は、対外的なものでは無く対内的なものに過ぎないというのがよくわかる。これは、彼らが暴発する危険性がそれほど高くないという風に見ることも出来ない訳ではないが、逆の考え方もできる。すなわち、特定アジア各国の関心が対外的な信用に向いていないがため対外的な信用の利得よりも国内における立場が何より優先する。だから、中国はあれほど面子にこだわっている訳だ。面子が潰されるという状況には即時的かつ感情的に反応し、それが暴発の引き金を引くことになる危険性がある。
 日本としては、ごりごりと正論で押し一気に面子を潰すのではなく、じわじわと相手の逃げ場を奪うように仕掛けが最も良い戦術となるのではないだろうか。彼らに国内向けの言い訳を少しずつさせるような仕掛けを進められるのが最も良い。今までは受け身で良いようにされてきたが、それを一気の反動で押し返すのではなく少しずつ着実に追い詰めていくような流れとして見ていきたいものである。