Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

彫刻

正月早々、こんなお題がはてなで出ていた。
2013年にやりたいこと
それって、単なる抱負?であるならば毎年変わらず書くこともできようが、特別企画として考えるには今ひとつ弱い。だから、今年は何か一つインパクトの残ることにチャレンジしてみたい。
とは言え犯罪に手を染めるつもりはないし、一庶民がどんなに気張ったところで世間まで届かない。それならばと、以前少しの間模型レベルでチャレンジしていた彫刻にもう一度取り組んでみようとかと考えている。
彫刻とは言っても芸術の道を歩んできたことのない私だから、そのあたりにある彫刻作品とはちょっと違うものになるかも知れないのだが、エンジニアが造るものがあってもいいじゃないかと自分で言い聞かせ取り組んでみよう。

しかし、この彫刻だが世の中的には今ひとつ歓迎されている訳ではない。日本国中様々な彫刻展が存在しいくつもの受賞作品が生まれているが、それを展示する場所に困っているというのが現状だ。パブリックアートhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88)の世界では「彫刻公害」という言葉もあるほどに世の中にはなおざりにされているアートが溢れている。文化振興を一時的に行えばそれで終わりとばかりに、街中の道路脇に数々の彫刻作品が並べられているが、それに目を止める人は多くはない。
確かに、水木しげるロードhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E6%9C%A8%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%89)や波平さんの髪の毛が話題になったサザエさん一家の銅像http://plaza.chu.jp/diary/2012/03/sazaesan-sakurashinmachi.html)など、まちづくりに一定の寄与をしているものもあるが、どちらかと言えばこうした作品は必ずしもアートとして位置づけられているとは言い難い。

次々に生み出される数多くのアート作品があたかも公害のごとく扱われるのは、日本における芸術文化のことを考えれば悲しい感じもするのだが、逆に言えば日本における芸術文化のあり方を考える機会にもなるのではないか。
そもそも芸術は貴族などの権勢を誇るために広がった面(パトロン)もあり、それが現代では公共(自治体など)が引き継いでいる。もともとは個人的な所有物であったものが、社会の共有物となった時点でこうした芸術をどのように扱うかが曖昧になっている感もある。世界的には芸術都市を宣言するところがあったり、あるいは公共事業の一部に常にアートを加える費用を付帯させているような例もある。確かに、優れたアート作品は空間の空気を変える力を持っている。ただ、アート作品はその影響を及ぼす範囲に乱立しても意味を成さない。個々が空間的な縄張りを主張しているのだ。
まあ、そんなこんなでパブリックアート(ストリートアート)の今後がどのようになるかは、街作りの観点から見直しが為されなければならないようにも思うのだが、こうした論を明快に張っている人は多くなく行政に対しての影響力もそこまで大きくないようにも感じている。

ともあれ、そんな難しい場所にできることなら今年は参戦してみたい。