Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

在宅勤務はなぜ広がらない

結婚できない理由として、非正規化も含めて若年層の収入が低下していることが挙がっているが、それ以上に労働状況の多様化が遅れているのもあるのではないだろうかと感じる。
結婚も自立も難しく…社会問題化する親同居未婚者(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130114/plc13011420430009-n1.htm
かつてネットが勃興しつつあった頃には、在宅勤務が進むことで通勤地獄からの解放に加えて在宅勤務による生産性の高まりや、あるいは家族との触れ合い時間が増えるなど心理的にも様々なメリットがメディアを賑わせていた。今でもこうした情報が出てくることはあるが(http://wired.jp/2012/09/03/working-from-home-youre-a-better-worker/)、ただ実態として日本でそれが進んでいるという感じはあまりない。
在宅勤務というのはやや憚られるが、個人事業主となっても結果的にそれは在宅勤務となる(しかし実情はそこのみが仕事場)ことも多い訳だが、これはひょっとすれば増えているかもしれないと考えてみた。企業が非正規雇用を増やしているということは、正規社員を非正規に変えると言うことだけでなく、安く外注できる部分はそれに回すと言うことでもある。人件費抑制のために海外への発注が容易に行える現状では、国内の下請け企業の採算性が低下するのは当然の流れでもあり、それ故に固定費をあまり抱えない(スキルのある)個人事業主への発注が増えるのではないかと思った訳だ。ところが、現実には個人事業主もかなりの勢いで減少しているようである(Kousyoublog:http://kousyoublog.jp/?eid=2235、投資十八番(FC2時代):http://stockkabusiki.blog90.fc2.com/blog-entry-1195.html)。
2001年と比べても30%近い減少であることからして、日本における零細企業の存続は非常に危うい状況であることがわかる。

個人事業が衰退しているとすれば、企業に勤めながらの在宅勤務が広がらない限りそれが増えることもない。しかし、アメリカの場合と比べればその状況はあまり進んではいない(http://toyokeizai.net/articles/-/7569)。チームワークを重視する日本企業の場合、どうしても一体感演出(同時に勤務状況管理)のために在宅化のかけ声はあっても進まないようだ。分業化についての考え方が日米では異なっているという点があるのかも知れない。
しかし、同時にネットの発達を上手く活用できていないのではないかという感じもする。現状では、すでに一般的なパソコンでもカメラを使ってのコミュニケーションが安価に行える。スタイルを確立さえできれば、職場を同一にしなくとも十分やりとりは可能ではないかと思うのだ。
日本の会社は合議型が多く、アメリカのようにトップダウン型はまだ多くない。あるいは雇用の流動性が低い点も指摘されている。

なぜ今回在宅勤務を取り上げたかと言えば、それの実現により日本のどこに住んでいても仕事ができるというスタイルが夢物語ではなく確立しつつある現状において、そのことが多く語られないことに対する疑問であった。週一度のミーティングのみ集まるというスタイルの働き方が可能であれば、東京に住むのとは比較にならないほど安い家賃で広い家を探すことができるのだから。結果的には、豊かな生活が送れることに繋がるのではないかと思うのだ。
一部には、本社を地方都市に移すことでコストカットに成功している企業なども報道で取り上げられたりはしているがまだそれは多くはない(連絡機能として最小のスペースは東京にも置いている)。

と言うのも、営業的には東京やその他の大都市は重要拠点ではあるが、それ以外の面では必須ではないと思うからである。消費地としての魅力もあるのだが、amazonなどに見られる流通革命はそのメリットすらも低下させつつあるように思う。
これも、日本全体の均衡ある発展を政府が目標とするのであれば、何らかの形で政府主導により在宅勤務や本社機能の地方移転に対するインセンティブを与える事により、大きなコストをかけることなく結果として国民の豊かさを創出できるのではないかと思うからである。
思いつきレベルのものではあるが、こうしたことを一つ一つ検討していくことで地域活性化と国民の豊かさを追い求めることが同時に叶うとすれば、考えてみる価値はあると思う。