Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

弱い犬ほどよく吠える

新年早々、非常に物騒なニュースが飛び込んできた。
「戦争の準備をせよ」対日想定…中国軍指導部が全軍に指示(http://sankei.jp.msn.com/world/news/130114/chn13011419050004-n1.htm
習近平総書記が尖閣超強硬策を主導(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130114-00000012-cnippou-kr
実際に、中国の新聞が書いたもののようであり飛ばしのニュースではなさそうである。まるで、日中が戦争に突き進んでいるような雰囲気で内容が語られている。おそらく、これと同調するように日本国内で戦争に進むなと言う大規模なデモも起こるのではないだろうか。もちろん、タイミングの良すぎるそれに何らかの力が働いている可能性は否定できない。
中国側からすれば、自国が強硬論を採ったところで日本国内に戦争反対論が渦巻けば、実質的に勝ったも同然になるのだからこうした工作は当然進められていると考えるべきであろう。そんなに難しい話ではない。日本国内の戦争反対派に資金援助をすれば良いだけなのだから。

私自身戦争を行いたいとは全く思わないが、同時に戦争はしないと最初から手を挙げるのも馬鹿げていると考えている。選択肢を狭めて交渉するなどと言うことは、最初から負けることを考えているのと同じだからである。
そもそも、その前に中国が尖閣にここまで必死になっている理由を考えるべきではないか。確かに尖閣諸島には一定の資源が眠っているだろう。ただ、それを日本との規模の大きな戦争により獲得した場合、中国に残るのはメリットだろうかそれともデメリットであろうか。答えは考えるまでもなくデメリットしかない。中国側とすれば戦争をせずに取れればラッキーと言った程度のものである。
しかし、こうした紛争は国内に様々な問題を抱えている時には有効な策の一つであるのも間違いがない。新聞各社は、日本の政権交代がまるでナチスの再来のように煽っているが、考えても見れば今の中国の方がずっとナチスドイツに近いではないか。日本国内の馬鹿げた煽りをする前に、現実的なそれに対応する策を訴える方がずっと普通のことであると思う。
ちなみに、ナチスドイツと中立を宣言したベルギーやデンマークは易々と占領されてしまっている。攻める側に必要であると考えられる場所は、中立的であろうが無かろうが奪いに来るものであるし、逆に中立を守ろうとするからこそ容易に奪われることを歴史は示している。

さて、尖閣を戦争をしてまで奪うメリットがあるか無いかとプレーンな状態で問われれば、そこに必然性はない。さらに、中国の指導者層は自分の子女や資金を中国から既に持ち出しているとされる。日本のみと戦争であるなら良いだろうが、アメリカも敵に回すとなればそれは人質として作用する。そもそも中国は米国債を山ほど持っているが、それも敵性国家と認められればチャラにできるという権限がアメリカ大統領にはあることになっている。巨額の債務がチャラにできるのであれば、アメリカにとって必ずしもそんな取引ではない。もちろんその分の貿易相手を失うが、中国共産党が倒れれば再び貿易を始めれば良いだけである。
中国指導者層が強く吠えれば吠えるほどに、実際見えてくるのは彼らの焦りではないかと思う。権力を握り切れていない焦り。国内の混乱を制御できない焦り。中国の強みは、時間をかける事を厭わない点にあったと私は思うのだが(香港返還のように)、今は時間が中国の敵となっているようだ。
確かに、あと数年経てば中国の軍事力は更に強大になるとの分析があるのも事実だ。ただ、それは現状の中国の成長が続けばの前提に立つ。ほんの5年後にも、人口減少にも向かうという状況であることを考えれば、今の中国は現状を如何に維持するかに四苦八苦していると考えるのが普通ではないだろうか。
だとすれば、日本はその時間を引き延ばすことは必ずしも損な取引とは限らない。戦争を起こすという彼らのブラフに腰が引けるのではなく、理不尽な攻撃が来た時には相応の反撃を加えることを明確にしておく方が結果的に戦争を防ぐこととなる。
中国を甘く見ろと言うつもりは更々無い。ただ彼らの利得を考えた時に、中国の脅しに日本の腰が引けることがもっともそれを最大化させるのは間違いないのだ。

そもそも軍靴の音は中国の方から聞こえているのだから。
(追記)
日・中・印・韓・豪の軍事費推移(2000〜2011)
http://img.pics.livedoor.com/011/1/b/1be0cd21c046b3aea221-1024.png