Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

中道が力を失い始めた

韓国などから言わせればそれすら右派と言うことになるのだろうが、一般的に日本の政治は中道が主流として政策運営などをリードしてきた歴史がある。それは一定の成長を実現してきた日本にとって、特定の強引な政策を進めるよりも多くの国民に目を配るという方が重視されてきたからであろうと思う。
その気配りというかバランス感覚は国内のみならず国際情勢にも遺憾なく発揮され、多くの国々の感謝や信頼を勝ち得たと同時に韓国や中国の暴走を許す遠因とも相成った。
朝日新聞などからすれば、ちょっと前の自民党の総裁候補たちですら誰を見ても右だと言うことになるのかも知れない(http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120920-00000003-sasahi-pol)が、その現状を生み出した原因は中道を標榜しつつも左派を多く含む民主党のていらくであることは誰も否定することはできまい。そこに加えて、最近の韓国や中国とのトラブルがこれまでの取り組みを否定する側に動いている。
要するに、中道とは中庸とは少し異なり左右のバランスを巧みに操る多数派工作の調整屋だと私は感じている。アジアのバランサーを自称する韓国なども自らは複雑な国際社会の中道を目指しているのかもしれないが、日本人から見ればとてもそうは見えやしない。良いとこ取りをしようとしている葉にしか見えないのである。短期的には効果があるかも知れないが、結果的には信頼を失う方向にいってしまう。諸行無常、世は常に移ろうのだから。

何も、柔軟性を失って我が道を行けと言っている訳ではない。その時々の状況を見ながら最善の道を選択しようと努力することが本来のやり方である。ただ、それは常に二つの主張の中間地点を選ぶと言うことではない。必要があれば片方の論理に大きく舵を切ることもあるのだ。
要するにバランスが目的ではなく、自国・自国民の幸せが最高の目的であることは誰も疑う話ではないだろう。その上で、周辺国との良好な関係は自国にもプラスに働くと言うことで、対話や妥協も方法論として必要となることも出る。
これまでは、中国も韓国も国力が日本と比べて劣っていたからこそ遠慮していたという面がある。そのような状況下では相手への配慮(譲歩)をしながら交渉を進めるというのも、一理はあったかも知れない。ただ、中国や韓国が攻勢に来た時に、それでもバランスを取ることに主眼を置けば、自然と相手の勢いに押されてしまうことになる。

私には、中道勢力と呼ばれる存在は世界の成長と安定がある程度約束されている時には意味を持つが、それが均衡を失い始めた時には立ち位置と存在が薄れてしまうのではないかと感じている。今、中国や韓国の外向的攻勢を受けて日本が右傾化していると叫ぶメディアもいるが、それはおそらく右傾化しているのではない。成長と安定の上に存在したやじろべえでは今の難局は切り抜けられないと多くの人が無意識に感じ取っているのではないだろうか。
もちろん、それでも意見が一方的に偏らないようにバランスを取る人の必要性が失われる訳ではない。ただ、バランスそのものが目的ではないという再認識が必要になり始めているのであろう。