Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

生ポ監視員

生活保護を「生保」と省略すると生命保険との混同が避け難いので、ここでは下世話な言葉ではあるがネット上などで用いられている「生ポ(なまぽ)」を仮に使用する。
駐車監視員http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A7%90%E8%BB%8A%E7%9B%A3%E8%A6%96%E5%93%A1)が道路交通法の改正で導入されたのは2006年であるが、それにより違法駐車が減ったのは事実であろう。もっとも、警察と監視員を派遣する警備会社などの癒着や監視員の資格が非常に容易に取れることからモラルが低いなどの新しい問題が生じており、どんな制度を用いてもそれを利用しての権益確保や問題は無くならない。とは言え、ではそのことをもって制度が無駄かと言えばそうではない。プラスの面も常に存在し、その両者のバランスによ制度は評価されなければならない。

さて、生活保護の不正受給は一時大きな社会問題となたが、現実にはそれを暴くことは容易ではないと言われる。同じ様なことは生活保護ビジネスの摘発などでも言えるだろう。それが駐車違反と同じ様な頻度で生じている訳ではないが、それを本格的に取り締まろうと考えるなら駐車監視員から何らかのヒントは得られないであろうか。
少し前の話ではあるがこんなニュースが流れていた。
生活保護不正、執念の見破り…張り込み2週間(http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121003-OYT1T00280.htm
職員の方々の努力には頭が下がるが、「生ポ」の問題でも実のところ大きいのはそこに関与する職員の人件費である。現状のケースワーカーの数は処理件数に比して不足しているとされる。ただ、財政状況が悪い現状での増員は難しく、それ故に「生ポ」認定が甘くなったり厳しくなったりと最適化が為されにくい状況である。
それ故に、大阪市の橋下市長など一部では現物支給案も出ているが、小さな自治体ならいざ知れずその手間が馬鹿にならないのが現状だ。加えて、現物支給という考え方自体が受給者を心理的に不安定な状況に追い込むとの反論も大きい。

私自身は過去から何度も書いているが、生活保護問題は経済成長問題と密接に絡んでおり、景気が悪くなればそれが増えて一定数を超えると不満が噴出するという、景気に左右される現象だと思っている。要するに、国民の所得が増えていくれば現状程度の支出は誰も気にならなくなる。デフレにより普通に働いていても生活費に苦労する状態である人が多いからこその問題なのだ。
とは言え、その利用が多くなっている現在では全体数の増加に比例して不正受給の件数も増加する。特に、窓口や担当者が現状の処理で精一杯であることが知られるほどに、企みをする人は増すだろう。
民間へのビジネスとしても、こうした調査を外注する仕組みが作られれば不正を働こうと言う人は減少するのではないか。制度の正当性が認知されれば、生活保護を受けている人に対する謂われのない中傷誹謗を軽減する役割はある程度担ってくれそうな気もする。逆に情報漏れなどが起こらないように守秘義務は厳しく指定され、あるいは受給者との癒着を許しても意味がないが、処理が追いつかない現状があるとすれば何らかの仕組みを考えてみるのも悪くない。
まあ、秘密警察に監視されてているみたいで落ち着かないと言われるのだろうな。でも、そう言っている限りにおいて「生ポ」に対する批判は止まないのではないかとも思うのだ。