Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

尖閣奪取

物の見方を変えるために、中国側の視点に立って尖閣問題を考えてみよう。
そもそも尖閣諸島がどこの領土であるかなど大きな問題として考えている訳ではない。中国の成長を考えれば影響範囲を拡大していくのは当然のことであり、東方ではまず最初に尖閣がそれにひっかかった。もちろん、影響範囲を広げるとは言っても資源が存在するところにエネルギーを集中するのは当然だ。
しかし、日本が実効支配している現状があるのはわかるので、まずあらゆるルートを使って日本の実効支配を形として残させないことが大切である。灯台や港を作り、そのために常に人がいる(あるいは頻繁に通う)状態というのは都合が悪いという事になる。
現状、日本政府が日中関係を理由に尖閣諸島に手を加える事を躊躇しているのは、ある意味思惑通りとも言える。ただ、同時に野田総理が主張において折れないのは、その先を睨んだ場合は成果として不十分とも言えるだろう。

物事の交渉は、押すときもあれば引くときも必要だ。特に人間関係でもそうなのだが、普段悪いと見られているものがたまに良い行いをするとそれは実態以上に良く感じられる。逆に、普段真面目で温和しいものがたまにだだをこねるとそれは余計に誇張されて感じられたりもする。
だとすれば、中国側はとりあずあらゆる手段を使って現状領土紛争がある事を認めさせる。一部の日本の政治家はすでにその作戦に乗りつつあるではないか。マスコミなども利用して、紛争があっても日本に有利なのだからかまわないではないかという雰囲気を作り出していくのである。そして、それが一定以上高まったときを見計らって、紛争を棚において平和的な解決を目指すように日本にではなく世界に訴えるのだ。
実際、世界の認識などたいしたものではない。揉めているという認識は抱いていたとしても、どちらに正当性があるかなどはシーレーンを守りたいアメリカ以外にとってはどうでも良い事である。加えて、日本の世論自体が領土紛争と認めるような雰囲気が高まれば、アメリカと言えども当事者ではないので紛争は存在しないとは言えまい。

さて、平和的な話し合い・共同開発などを中国側から提示したときに、日本が会談を突っぱねれば世界的にはどのように見られるか。平和的手段を提示した中国に対してそれを拒絶する日本という構図ができあがる。日本という国は国家のエゴを通せるほどには強い国ではない。世界的な目が日本を平和的な話し合いを拒絶する者と認識し始めれば、日本は共同開発などを前提とした話し合いに応じないわけにはいかないのだ。
もちろん、その先は中国系企業や日系企業の買収などを通じて実質的な利益を中国が吸い上げる構図を画策すればよい。幸いにも資本主義の理論と法に則りさえすればそれは可能なのだ。加えて日本はアメリカのように中国企業の参入を大統領や議会が阻止など容易に出来ない。
仮にそのような動きにでても、マスコミを利用して日本政府が平和的な共同活用を阻止しようと紛争を引き起こしていると宣伝する。

さて、そんなに上手くいくものではないのだが、実は中国側が軟化したときこそ日本側の対応が重要になるのではないかと思うのだ。