Alternative Issue

個人的な思考実験の、更に下書き的な場所です。 自分自身で消化し切れていないことも書いています。 組織や職業上の立場を反映したものでは一切ありません。

韓国のサイレントマジョリティ

竹島問題や従軍慰安婦問題もあり韓国の反日教育の成果が燃えさかっているように見えるが、一般韓国民のそれはむしろ以前よりはややおとなしくなったくらいに感じている。何が違うかと言えば、政府の首脳陣の言葉が勇ましくなったと言うことでしかない。
日本でもそうではあるが、ネット上では勇ましい声が響き渡るものの実際には無関心という人が決して少なくはない。もちろん今回の李明博大統領による天皇陛下への謝罪要求に対しては多くの人が眉をひそめたものの、だからと言って断交せよと叫んでいるのはごく一部に過ぎない。
韓国の方でも、大統領の人気取りという側面は既に多くのメディアが報じているが、冷静にこの事態を見ている人は予想以上に多いと思う。むしろ政治やメディアが問題をこじらせる現状を苦々しく思っている人も少なくはないであろう。少し前の経験で恐縮ではあるが、私も個人的に幾人かの韓国人の人との交流も行ってきた。主に日本の大学院へ来た留学生や相当の地位にいるエンジニアの人たちとである。その感想を言わせてもらえば、今マスコミを騒がせているような狂乱騒ぎは一切感じられず、冷静で落ち着いた認識であった。
もちろん教育や環境の違いがあるので相容れない面があるのは事実であるが、現状のように感情論丸出しで激昂しているのが韓国民の大多数というわけではない。日韓関係がこれだけ揉めたのはここ20〜30年でも珍しいことだと思うが、それにしては韓国内で日本関係の企業が暴動にあったとか、中国のように暴徒に襲われたとか言う話は聞かない。一部の怒れる市民が暴走しているのは多少聞こえてくるし、今後は何かあるかも知れないと外務省も注意喚起している(http://www.kr.emb-japan.go.jp/people/safety/safety_120828.htm)が、それでも正直拍子抜けなくらいおとなしいと思うのだ。
少なくともメディアの興奮具合が国民と同じであれば、かなりの行動があってしかりだ思うからである。

韓国の教育で竹島(韓国名は独島)が韓国の領土と執拗なくらいに繰り返し教えられ日本は敵であるとことあるごとに繰り返されれば、日本人と接したことのない一般の人は普通日本を憎むようになるのは当然でもある。それを容認するつもりはないが、実のところ冷静に情報を分析する韓国人は韓国の主張の胡散臭さを感じている人も多い。
先日も、韓国の中学生がネット上に韓国を辱め日本を持ち上げるサイトを立ち上げていたとして、逮捕処罰の流れになっているとの報道があった。特に問題とされているのは韓国の国旗である太極旗に火を付けた画像を出していたことであるが、処分はおそらく罰金程度で終わるものではあるものの冷静な批判を封じ込めている言論圧殺が見て取れる。日本でそんなことをしてもネットの一部で盛り上がることこそあれど処分にまで至る可能性は非常に低い。逆に考えれば、少々の反対論では揺らがないほどの信頼性が日本社会にはあり、少しの反論が致命的になりかねないという懸念が韓国にはあるとも言える。
かつて「親日派のための弁明(http://www.amazon.co.jp/%E8%A6%AA%E6%97%A5%E6%B4%BE%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%BC%81%E6%98%8E-%E9%87%91-%E5%AE%8C%E7%87%AE/dp/479421152X)」という本を執筆した金完燮http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%AE%8C%E7%87%AE)は韓国内の裁判でも糾弾され、国外に出る事も許されてない。あるいは、韓国内で従軍慰安婦を日本の強制によるものではないと語ったり、日韓併合時に韓国の産業やインフラが発達したと言った学者達はいずれも謝罪に追い込まれている。およそ日本人からすれば想像も出来ない雰囲気が韓国にはある事がわかる。
ただ、その上でも言える事は過激な言動をしてるのはごく一部であるという事だ。ネットの発達により情報の拡散能力が飛躍的に増大した事で、多くの情報に容易に接する事が出来るようになった反面、ほんの些細な事柄や発言がまるで全てを表しているか如くされてしまうケースも増えた。

日本でも政治に関心がない人が多いように、韓国でもそれを煽る人の数はおそらく多くはない。もちろん、韓国政府の反日教育により幅広い情報に接していない人が多く、日韓の間で議論がかみ合わないことも多いであろう。反日教育の負の影響は予想以上に大きく広がっており、まるで自らついた嘘を守るために嘘を重ねるように韓国や中国政府は苦労していると思うが、それを解消する事は数十年スパンが必要となる。
ただ、それでも今日の当事者意識の少ない反日は娯楽の延長でしかない。だからこそ、さんざん反日の言動をしていながら日本で韓流が広がるのは別などと言う気楽な事を言い、日本製品を使う事が可能となるのである。
だとすれば日本が取るべき行動は、感情の対立に追い込む事ではなく淡々と事実関係のみを議論し続けることになるのではないだろうか。それは徒労に感じられるような行為ではあるが、甘やかすのではなく淡々と事実を積み重ねてそれを世界に発信し続ける。それこそが日本の立場を世界に伝えると共に、韓国のサイレントマジョリティを感情論に走らせない最も良い方法だと思う。
もちろん経済的な対抗策を取っても良い。あるいは韓国に不都合な情報を発表しようがかまわない。ただ、韓国の一部メディアなどの過激な報道を受けて行う感情論の泥仕合ほど無意味な戦線拡大はないと思うのだ。